1993 Fiscal Year Annual Research Report
アナフィライキシーショックの発生機序・病態およびその治療法の解明
Project/Area Number |
05454426
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
光畑 裕正 自治医科大学, 医学部, 講師 (70108934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 禮寿 自治医科大学, 医学部, 教授 (60010253)
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Keywords | カルシウムイオン拮抗薬 / アナフィラキシー / イヌ / 呼吸循環動態 |
Research Abstract |
アナフィラキシー発症時での肥満細胞からのchemical mediatorの放出に必要なCaイオンの細胞内流入を阻害するCaチャンネル阻害薬を投与し、Caイオンがどの程度にアナフィラキシーの病態に関与しているかを明らかにする目的で実験を行った。 Caチャンネル阻害薬がアナフィラキシーショック発症後早期にみられる気管支痙攣をどの程度に軽減するかを明らかにする目的で、肺粘性抵抗、動肺コンプライアンス、気流量、食堂-気道内圧差を測定した。また循環動態の病態に対する作用を明かにするために、心拍出量、大動脈圧、左室収縮力、左室拡張力、左拡張期終末圧および肺動脈圧を測定した。 理論的には、Ca拮抗薬が肥満細胞での科学伝達物質の放出を抑制し、循環および呼吸動態の安定化を促すことが可能であると考えたが、アナフィラキシーショック早期の循環および呼吸抑制の程度は非常に大きく、Ca拮抗薬では化学伝達物質の放出抑制効果より循環抑制作用が強く生体に作用し気管支炎痙攣の軽減および循環系の安定化をはかるよりも血圧低下が対照群に比べて強くなり、実験動物が全例死亡した。結論としては、臨床使用濃度のCa拮抗薬はアナフィライキシーの治療薬として不適であることが明らかにできた。 そこでアナフイラキシーの病態に深く関与していると考えられているNOの阻害薬の効果を検討することにした。ショック発症早期の呼吸および循環抑制に対するNO阻害薬の効果、投与時期および投与量を確認するために予備実験をおこなった。結果としては、ショック発生早期の呼吸および循環抑制が5分から10分の短時間のあいだに改善し、補液だけの治療による対照群に比べて有意な改善であった。更に循環および呼吸のパラメータを詳しく解析することでアナフィラキシーの病態の解明をさらに進めることができることを示唆された。
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