1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト絨毛ならびに胎盤における遺伝子調節機構に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
05454436
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤本 征一郎 北海道大学, 医学部, 教授 (60001898)
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Keywords | 遺伝子調節機構 / 絨毛 / 胎盤 / Bcl-2 |
Research Abstract |
1.アポトーシス(programmed cell death)に関与すると考えられているBcl-2遺伝子の発現を分子生物学的ならびに免疫組織学的に検討し、当該遺伝子は妊娠週数による変化を示し、特に分娩直前に発現が急激に低下することが判明し、報告した。 したがって、当該遺伝子の発現を調節している機構に関する研究を推し進め、発現量の低下が全体の機構の中でどの様な役割を果たしているか、あるいは発現の低下が最終的な結果なのか次のステップへの引金となっているのかなどについて明らかにしていく予定である。 2.早産や子宮内胎児死亡などの異常妊娠の胎盤・絨毛におけるBcl-2遺伝子の発現状態を現在検討中であるが、PCR(polymerase chain reaction)法、SSCP(single-strand conformation polymorphism)法では明らかな変化を見出すにはいたっていない。 しかし、c-fms、c-fos、c-mos、c-mycなどのがん遺伝子の発現状態には変化が認められ、一定の法則を見出すことができるかどうか、現在実験を繰り返しながら検討中である。 3.胎盤は受精卵側の絨毛と母体子宮側の脱落膜から構成されているが、絨毛・脱落膜のそれぞれが妊娠期間中に互いに影響し合い特別な妊娠維持機構が存在する。この点に関し、G-CSFや様々なサイトカインの発現およびそれらの変化について検討を加えた。サイトカインについては、炎症や細菌感染など通常の誘因と考えられる因子が存在しないにもかかわらず、早産にいたる症例では羊水中でそれらが高値をとることが判明した。現在、サイトカインがBcl-2発現などにどの様な影響をおよぼす可能性があるのか、検討中である。
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