1993 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類(ツパイ)を用いた近視実験モデルの確立と近視発症メカニズムの解析
Project/Area Number |
05454466
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
吉田 晃敏 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70125417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 晴美 旭川医科大学, 医学部, 助手 (20214728)
小笠原 博宣 旭川医科大学, 医学部, 助手 (00177106)
石子 智士 旭川医科大学, 医学部, 助手 (10250565)
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Keywords | 近視 / 実験近視 / 血液網膜柵 / フルオロフォトメトリー / 網膜 |
Research Abstract |
1.成熟ツパイを用いた基礎的研究 眼軸長測定装置(パナメトリックス5052,A-モード)とコンピューター波形解析プログラムとを組み合わせた新しい測定システムを開発し,成熟ツパイの屈折要素の長さを,0.1mmの精度で測定することに成功した。また,refractometerを用いてツパイの屈折度を測定する装置を新たに開発した。fluorophotometryを行い,静注した蛍光色素が眼内に移行する動態変化を記録することに成功した。得られた測定値から,血液網膜柵の透過性係数を算出するツパイ眼のsimulation modelを開発した。さらに,これらの測定を同時に行うための動物固定装置を作成した。 2.若年ツパイを用いた近視モデル眼の作製 当初の計画通り,片眼に瞼々縫合法を行うことにより片眼の近視モデルを作製した。しかし,これまで猿に用い,成功したこの方法では,ツパイの角膜に障害を与え,角膜曲率を大きくすることがわかった。これは,ツパイの眼球が猿のそれと比較して突出しているため,眼瞼による機械的刺激により生じたものと考えられた。従って,goggle(特殊眼鏡)を用いて近視を作製する方法へ実験計画を変更することとした。 3.Goggleを用いた近視作製実験 ツパイの頭皮及び頭蓋骨を除去し,特殊goggleを装着する新しい手法を考案した。このgoggleを作製し,片眼には透明の,他眼には半透明のレンズを装用させた。この方法を用い,片眼に軸性近視をつくることに成功した。この近視眼と他眼の正視眼にfluorophotometryを行い,血液網膜柵の透過性を調べた結果,軽度の近視(1〜1.5D)から,その透過性が亢進していることが確認できた。これらの軽度近視眼を組織学的に検討したが,有意な所見は検出されなかった。 本年度は計画の変更を強いられたので,来年度は一層の努力をしたい。
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