1993 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素上皮細胞におけるプロテインキナーゼCの生理学的病理学的役割
Project/Area Number |
05454476
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
平形 明人 杏林大学, 医学部, 講師 (80173219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋田 哲夫 杏林大学, 医学部, 助教授 (40129622)
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Keywords | 網膜色素上皮細胞 / プロテインキナーゼC / ホスホリパーゼD / ホスホリパーゼC / アセチルコリン |
Research Abstract |
培養網膜色素上皮細胞(RPE)をin vitroにて〔^3H〕ミリステリ酸、あるいは〔^3H〕アラキドン酸でラベルし、続いて、アセチルコリン(ACh)で刺激すると、ホスファチジル酸とジアシルグリセロールの増加を認めた。同様な反応をエタノールの存在下で施行すると、ホスファチジル酸の上昇と同時に〔^3H〕ホスファチジルエタノールの増加が得られた。これはRPEでのホスホリパーゼD(PLD)の一次アルコールの存在下で転移リン酸化反応を確認出来た事を示す。またPLD活性を測定する上で、どのくらいのエタノールの濃度が適当であるかについて、0.5%から2.0%までで検討し、ホスファチジルエタノール産生を見る上で、1.0%が適当であった。ホスファチジル酸とホスファチジルエタノールの産生はAChにdose dependentであり、1mM AChは、十分な濃度である事を確認した。ただしホスファチジル酸とホスファチジルエタノールの50%最大産生量に対するAChの濃度が異なる傾向を一種類のRPEの細胞系で得た。これが再現性があるか今後の課題であるが、これはPLDとホスホリパーゼC(PLC)がAChの異なる濃度に活性化されている可能性、すなわち受容体のsubtypeがそれぞれ異なる事を示唆しているのかもしれない。 以上の如く、RPEでのin vitroにおけるPLDの存在とそのACh濃度依存との関係で、興味ある知見を得た。ただし、当初に計画した目的に比べ、設備備品の整備に時間を要した為、RPEをホルボルエステルまたはホルボルエステルとアセチルコリンのいずれかで刺激する反応を施行出来なかった。しかし、その条件設定の為エタノールの濃度決定や反応時間の把握における貴重な情報は得られた。また、ジアシルグリセロールのバンドが、薄層クロマトグラフィー上で〔^3H〕アラキドン酸と容易に分離鑑定出来ず、ジアシルグリセロールの定量は他の溶媒系を利用するか現在検討中である。
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