1994 Fiscal Year Annual Research Report
酸素感受性酵素の歯垢生態系と酸産生への影響に関する研究
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05454496
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山田 正 東北大学, 歯学部, 教授 (50005021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 一彦 東北大学, 歯学部, 助教授 (40151089)
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Keywords | リボヌクレオシドミリン酸還元酵素 / 嫌気条件 / 酸素感受性酵素 / 嫌気性菌 / ミュータンス・レンサ球菌 / 口腔微生物 / ウ蝕 / 歯周病 |
Research Abstract |
リボヌクレオシドミリン酸還元酵素は、DNAの生成に必須のリボヌクレオシドの生成する反応を触媒する酵素として、嫌気性微生物の生存・増殖に必須の役割をしている酵素である。この酵素の測定は、これまで、放射性同位元素を用いて行われてきが、放射性同位元素を用いた実験を嫌気グローブボックス内で行うことは、法律規制と技術の面から日本国内ではほとんど不可能であった。本代表者らは、ジフェニールアミンを用いる発色法を用いることによって、ウ蝕誘発性の高いミュータンス・レンサ球菌にこの酵素が存在することを発見することができた。さらに、より定量的にこの酵素活性を測定するため、高速液体クロマトグラフィーを用いてこの酵素の生産物であるデオキシヌクレオシドミリン酸を同定し、この酵素活性を測定することに成功した。その結果、ミュータンス・レンサ球菌のリボヌクレオシドミリン酸還元酵素も他の微生物のものと同様に、高度に酸素感受性であることが発見された。さらに、ピルビン酸・ギ酸エアーゼ(PFL)と同様な不活性型がこの酵素にもあり、ミュータンス・レンサ球菌で、PFLと同様なシステムを用いた処理により、リボヌクレオシドミリン酸還元酵素を活性化することに成功した。すなわち、これら二つの酵素は、同じ活性化酵素により可逆的不活性型と活性型の型変換が行われている可能性が示唆された。これらの発見により、日常の食生活パターンによる歯垢の逐次的酸素濃度の変動が、これら酵素感受性酵素およびその活性型変換を通して、歯垢微生物の活動に大きな影響を与えることがを明らかにした。これらの発見は、ウ蝕や歯周病の発病に関与するこれら微生物のヒト歯垢中での活動を、より動的に把握することができ、ウ蝕や歯周病の病因の詳細を解明するための重要な第一歩を印したものと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 山田 正: "実際的なむし歯の予防法" 学校保健(北海道学校保健会). 35. 5-6 (1994)
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[Publications] 山田 正: "日本トゥースフレンドリー協会の発足" 治療. 76. 112-113 (1994)
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[Publications] 山田 正: "トゥースフレンドリー協会の検定基準と市場展開" 食品と開発(健康産業新聞社). 29. 11-13 (1994)
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[Publications] N.Takahashi: "The role of the succinate pathway on sorbitol fermentation by oral Actinomyces viscosus and Actinomyces riaeslundii" Oral Microbiol.Immunol.9. 218-223 (1994)
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[Publications] S.Kalfas: "Initial catabolism of sorbitol in Actinomyces naeslundii and Actinomyces viscosus" Oral Microbiol.Immunol.9. 372-375 (1994)
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[Publications] S.Hojo: "Acid profiles and pH of carious dentin in active and arrested lesions" J.Dental Research. 73. 1853-1857 (1994)