1993 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病患者におけるBruxism習癖の解明と咬合性外傷による歯周組織破壊
Project/Area Number |
05454514
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 熈 北海道大学, 歯学部, 教授 (60001020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 竜資 北海道大学, 歯学部, 助手 (50215612)
向中野 浩 北海道大学, 歯学部, 助手 (40182068)
本郷 興人 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (80199562)
佃 宣和 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (10155351)
川浪 雅光 北海道大学, 歯学部, 助教授 (10133761)
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Keywords | 咬合性外傷 / Bruxism / ポケット内細菌 / attachment loss / ポータブルBruxism自宅記録装置 / K6 Diagnostic System |
Research Abstract |
本年度の研究成果をまとめると次のようである。 1.咬合性外傷と炎症との合併による歯周組織破壊のメカニズムの解明:炎症と咬合性外傷合併時の歯周組織破壊のメカニズムをより明確にするため,動物実験を行い,臨床的変化とポケット内細菌について検討を加えた。サル2匹の臼歯を3群に分けI群はコントロール群としてソフトフッドのみ,II群は炎症群として歯肉辺縁に木綿糸を結紮,III群は炎症と咬合性外傷の合併群として木綿糸結紮と矯正用elasticを1週ごとに隣接面に挿入し側方力を加えた。 実験期間は6週とし,臨床的診査およびポケット内より採取した試料中の総菌数と蛍光抗体法を用いて,Porphyromonas gingivalis,Provotella intermedia,Actinobacillus actinomycetemcomitansの菌数と割合を調べた。 その結果,I群はattachment lossは生じず歯肉炎にとどまり,II群はattachment lossと骨吸収を併う歯周炎が発生し,菌数と前記の3菌種はI群より有意に増加した。III群はII群と比べprobing depthに差はなかったが,attachment lossと骨吸収が有意に増加し高度の歯周炎に進行した。しかし総菌数と前記の3菌種の菌数と割合はII群と比べて明確な差は見られなかった。このことは炎症と咬合性外傷が合併すると歯周炎の進行は急速化するが,ポケット内細菌は,炎症のみの場合と大きな差は生じないことを示していると考えられた。 2.歯周病患者のBruxism習癖ならびに顎運動と筋活動の検討 加藤らが開発したポータブルBruxism自宅記録装置に改良を加え,正確なデータが得られるように工夫を加えるとともに,新たにBruxismデータ分析装置を用いることにより,夜間記録された筋活動,歯の接触,歯ぎしり音の分析を容易にすることができた。さらにK6 Diagnostic System(K6DS)を用いて歯周炎患者40名と健常者18名の開閉運動路,運動速度,咬頭嵌合位の安定性,筋活動など咬合機能状態を記録分析した。その結果,アンケート診査や臨床咬合診査では両者間に有意差はなかったが,K6DS診査では歯周炎患者は終末位速度が低下しているものが多く,歯周炎が中程度以上に進行するとこの傾向は著明であった。さらに咬頭嵌合位への収束性や最大咬みしめ時の筋活動も歯周炎の進行につれ低くなり,とくに急速進行性歯周炎患者で著しく,高度歯周炎患者では咬頭嵌合位が安定せず,Bruxismなどの機能障害が起こっている可能性が高いことを示していた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 岡 秀彌: "実験的歯周炎進行に伴うサル歯周組織の臨床所見とポケット内細菌の変化" 日本歯周病学会会誌. 36巻(予定). (1994)
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[Publications] 加藤 熈: "標準歯周病学 第2版" 医学書院 (監修 佐藤徹一郎), 266 (1994)