1994 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病患者口腔粘膜上皮活性に影響を及ぼす微小循環動態に関する研究
Project/Area Number |
05454547
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Research Institution | TOKYO DENTAL COLLEGE |
Principal Investigator |
片桐 重雄 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (70085752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 良子 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (20156540)
森本 光明 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (90174458)
水野 嘉夫 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40051750)
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Keywords | 糖尿病患者 / 細小血管症 / 口腔粘膜 / 微小循環 / 生体ビデオ顕微鏡 / 微小循環画像信号解析 / 組織酸素分圧 / 粘膜上皮細胞動態 |
Research Abstract |
新たな知見 1 糖尿病患者口腔粘膜毛細血管の微小循環動態異常は、網膜症眼底所見と対比した糖尿病性変化として血流遅延、毛細血管係蹄の迂行蛇曲、血管壁の不整、係蹄数の減少、視野の混濁に有意性を認めた。 2 微小循環動態異常の初期変化として係蹄静脈脚の拡張、血流遅延、迂行蛇曲、小曲管瘤、血管壁の不整を認め、そして網状側枝・吻合、係蹄の狭細化、視野の混濁と進展し、終末には係蹄数の減少、係蹄分布の不均等をみると考えられ、糖尿病性網膜症の病期進展と対応する形態的、機能的病態が存在すると考えられた。 3 微小循環動態異常の増加、進展は、口腔粘膜下組織酸素分圧と負の相関を示し、特に係蹄数の減少発現と著明であった(r=-0.442 p<0.0001)。 4 口腔粘膜上皮のBrdU標識率は、糖尿病患者群5.6±1.9%と対照の、8.5±1.0%に比し有意に減少し(p<0.01)、組織活性の低下を認めた。 5 口腔粘膜上皮のBrdU標識率は空腹時血糖値、HbA1cと弱い負の相関を示し(r=-0.36、-0.32、p<0.01)、口腔粘膜下組織酸素分圧と正の相関を示した(r=0.53 p<0.01)。 6 インスリン治療群のBrdU標識率は6.4±2.3%と非インスリン治療群の5.2±1.6%に比し高値を認めたが、毛細血管微小循環において係蹄分布の不均等、係蹄数の減少、組織酸素分圧の20mmHg以下、口腔粘膜生検の電顕所見で毛細血管内皮細胞基底膜の重層化、周皮細胞の崩壊、末梢神経軸索の変性、消失、髄鞘の変性・離開を呈する場合は不可逆性を呈すると考えられた。 7 口腔粘膜は侵襲度も少なく、容易に繰り返し生態観察の可能な部位である。生体ビデオ顕微鏡システムによる微小循環動態の観察、PtO_2モニターによる組織活性の測定、さらには生検による毛細血管や末梢神経の電顕的観察は、糖尿病性慢性合併症の発現、進展、治療評価など病態把握の指標として有用である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 鈴木雄一: "糖尿病患者における口腔粘膜上皮の細胞動態に関する研究-HbA_1と組織酸素分圧(PtO_2)との関連-" 糖尿病. 37. 438- (1994)
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[Publications] 海州謙太郎: "糖尿病患者における血中微量金属元素と味覚障害について" 口腔診断学会雑誌. 7. 443- (1994)
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[Publications] 森崎重規: "糖尿病患者口腔粘膜の毛細血管に関する研究-糖尿病性慢性合併症と血中トロンボモジュリン値-" 歯科学報. 11. 986- (1994)
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[Publications] 森本光明: "糖尿病患者口腔粘膜における微小循環異常に関する研究" 第254回東京歯科大学学会(3月,千葉). 発表予定. (1995)
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[Publications] 鈴木雄一: "糖尿病患者における口腔粘膜上皮の細胞動態に関する研究-網膜症との関連について-" 第38回日本糖尿病学会年次学術集会(5月,大宮). 発表予定. (1995)
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[Publications] 片桐重雄: "Evalution of PtO_2 Measurement on the Oral Mucosa in Diabetics." The IADR 73rd General Session(June,Singapore). 発表予定. (1995)