1994 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィロモナスジンジバリスのヘモグロビンからの鉄獲得機構の解析
Project/Area Number |
05454555
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
雫石 聰 大阪大学, 歯学部, 教授 (00028789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 英樹 大阪大学, 歯学部, 助手 (50260641)
田崎 功子 大阪大学, 歯学部, 助手 (60168549)
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Keywords | ポルフィロモナスジンジバリス / 黒色色素産生性嫌気性菌 / ヘモグロビン / 鉄結合性タンパク質 / 鉄源 |
Research Abstract |
Porphyromonas gingivalis(P.g.)は生理的濃度の遊離の鉄イオンを利用できないことや、トランスフェリンなどのヘム鉄複合体以外の鉄結合性タンパク室も鉄源として利用できること、さらに、P.g.のトランスフェリン利用能は、本菌のトランスフェリンとの結合能と密接に関連していることを我々が最初に報告した。本研究では、P.g.菌体表面に存在すると考えられるヘモグロビンの受容体の同定を行い、その性質を明らかにすることにより、P.g.によるヘモグロビンからの鉄獲得機構を明らかにすることを目的とした。トリチウムラベルしたヘモグロビンを調製し、これを用いて、P.g.とヘモグロビンとの結合について定量法を確立した。そして、この結合性について、Scatchard解析を行ったところ、P.g.のヘモグロビンに対するKd値は1.0×10^<-6>Mであり、細胞当りの結合部位数は3.2×10^4であった。さらに、各種の鉄結合タンパク質およびプロトポルフィリンやヘミンを用いて、結合阻害実験を行ったところ、ヘモグロビンによる結合阻害が最も強く、ヘミンやプロトポルフィリンによってはほとんど阻害されなかったことから、この結合はヘモグロビンのヘム部分以外を認識していることが示唆された。さらに、鉄制限培地に連続接種したP.g.の鉄結合能を調べたところ、P.g.の外膜に含有されている鉄量の減少ととともに、結合能は上昇した。鉄制限培地に4回連続接種したP.g.のヘモグロビンに対する結合は、鉄含有培地で培養したP.g.に比べて、約2.5倍に増加していた。現在、P.g.の外膜標品をSDS‐PAGEおよびウェスタンプロットにより分析し、ヘモグロビン結合タンパク質を同定しようとしている。
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