1995 Fiscal Year Annual Research Report
先天性風疹症候群の誘起に関与する風疹ウイルスの分子疫学
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05454587
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Research Institution | National Institute of Health |
Principal Investigator |
加藤 茂孝 国立予防衛生研究所, ウイルス製剤部, 主任研究官 (20211162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 泰弘 筑波医学実験用霊長類センター, センター長 (80109975)
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Keywords | 風疹 / 風疹ウイルス / 先天性風疹症候群 / 遺伝子診断 / 胎児診断 / エンベロープタンパク質 / 突然変異 / 分子疫学 |
Research Abstract |
風疹ウイルスは先天性風疹症候群(CRS)を引き起こす原因ウイルスであるが、この風疹ウイルスの病原性と流行様式との解析を目的として、我が国を含むアジア地域における分離ウイルス株の遺伝子RNAの塩基配列を比較し、分子疫学的研究を行った。 RNAの中のE1翻訳領域1443塩基を含む1484塩基を主な対象として、塩基配列を決定した。使用したウイルス株は15株あり、日本12株(1960年代5株、1990年前後7株)、香港2株(1980年代)、中国1株(1980年)である。 分析の結果、 (1)1960年代の日本においては、少なくとも3グループのウイルス株が同時に平行して流行していたと思われた。3グループは、それぞれ西日本、中日本、東日本の3地域に対応していた。 (2)1990年頃の日本においては、1960年代とは異なったグループの株が全国的に1グループで流行していた。 (3)中国大陸の株は、日本の株とは別のグループに属すると思われる。その中では、中国株と香港の1株との間に強い近縁関係が見られた。 (4)弱毒化した日本のワクチン3株においてその原株との比較ができたが、弱毒化に共通した変異は、見られなかった。弱毒化に関与する部位が株毎に異なるのか、または、E1以外の他の領域が関与しているのか、の何れかであると思われた。 (5)CRS患者からの分離株においては、同じグループに属していても変異数が多いという傾向があり、持続感染による影響があった可能性が考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] J. -P. Chen et al.: "Expression of the rubellavirus structual proteins by an intection Sindbis virus vector" Arch. Virol.140. 2075-2084 (1995)
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[Publications] M. Tanemura et al.: "Diagnosis of fetal rubella infection with reverse transcription and nested polymerase Chainreaction : A Study of 34 casesdiagnosed infetuses." Am. J. Obstet. Gynecol.(in press). (1996)
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[Publications] 加藤茂孝: "母子感染の胎児診断" 小児内科. 27. 1425-1428 (1995)
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[Publications] 加藤茂孝: "胎児ウイルス感染の遺伝子診断" 小児内科. 27. 1039-1043 (1995)
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[Publications] 加藤茂孝 他: "胎児風疹の遺伝子診断-結果と今後の課題-" 産婦人科の実際. 44. 891-895 (1995)
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[Publications] 加藤茂孝: "日本における先天性風疹症候群-1978〜93年の発生状況-" 臨床とウイルス. 23. 148-154 (1995)
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[Publications] S. Katow (co-author): "Vaccine Handbook" Maruzen, 201 (1996)
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[Publications] 加藤茂孝(共著): "遺伝子診断'96" 医学書院, 134 (1996)