1993 Fiscal Year Annual Research Report
ミオシン頭部内のフレキシブル領域の分布と筋収縮エネルギー変換機構への関わり
Project/Area Number |
05454617
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
平塚 寿章 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (30041825)
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Keywords | 筋収縮 / ミオシン / フレキシブル領域 / エネルギー変換 |
Research Abstract |
ミオシン頭部(S-1)には、反応性の高いCys-697(SH2)とCys-707(SH1)があり、どちらもATP加水分解反応には直接関与していないが、両残基間のペプチド鎖は非常にフレキシブルである。これらの残基はATPやアクチンなどの結合により大きく構造変化を受け、この領域が筋収縮のエネルギー変換機構に重要に関わっていると考えられている。SH2に関しては良く調べられているが、SH1に関してはATP加水分解反応に伴って大きな構造変化を受けるという実験結果とこれに否定的なものの両方が報告されている。 今回従来とは発想を異にして、SH1のできる限り近くで起きた構造変化を感度良く検出するために、Cys分析用螢光試薬として開発された4-フルオロ-7-スルファモイルベンゾフラザン(ABDF)を初めてタンパク質に応用し、SH1のATP加水分解反応に伴う動きを追跡した。 ABDFは周囲の環境変化を敏感に反映してその螢光性を大きく変化させるので、非常に優れたタンパク質用螢光プローブとして使えることがわかった。S-1にABDFを作用させるとSH1だけが特異的にラベルされた。得られた螢光標識物(ABD-S-1)に、ATPなどのヌクレオチドが結合すると50〜110%もの螢光増大が見られ、これを利用すると螢光変化を測定してATP加水分解反応を追跡できた。一方アクチンの結合によってもABD-S-1の螢光強度が約30%も変化し、SH1が動いていることが示唆された。KIによる螢光消光実験からは、SH1はATP加水分解反応に伴って、SH2とは逆の動き方をすることがわかった。 以上の結果から、Cys-697〜Cys-707のペプチド領域はその両端が互いに独立に動ける程フレキシブルであり、筋収縮におけるエネルギー変換機構に関わっていることが強く示唆された。
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Research Products
(1 results)