1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454629
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 明男 大阪大学, 理学部, 講師 (80107060)
|
Keywords | 筋収縮 / ミオシン / ATPase / 蛋白質構造 / 生体運動 / 分子モーター / プペチド抗体 / 骨格筋 |
Research Abstract |
筋収縮の中心的な役割を果たしているミオシンは2つの頭部を持っており、その両方の頭部がアクチンと結合しATPと反応する。このそれぞれの頭部が筋収縮の際にどの様な役割を果たしているかはまだ明らかにはされていない。そこで、本研究ではミオシンの2つの頭部ABそれぞれに特異的な抗体の作成することを試みた。ミオシンの片方の頭部AはATPと反応するとミオシン-ATP複合体を形成し、もう一つの頭部Bはミオシン-リン酸-ADP複合体を形成することはすでに我々によって明らかにされている。筋収縮と共役するアクトミオシン-ATPase反応は頭部Bで行われる。さらに我々は2つの頭部はN末から86番目の活性リジン残基周辺の一次構造が異なることを明らかにした。そこで、これらの部分に相当するペプチドを化学的に合成し、これらのペプチドに対する抗体を作成した。抗体はそれぞれのペプチドと強く結合した。また、ミオシンならびにミオシンの頭部(S-1)とも強く結合した。抗体とミオシンの結合は抗体を作成したペプチドによっては完全に阻害されるが相対するペプチドでは阻害されないことから抗体は頭部ABと特異的に結合するものと考えられる。実際、得られた抗体を担体に結合させてカラムを作成し、頭部(S-1)をカラムに流してS-1を抗体に結合するものとしないものに分離すると、S-1はM-P-ADPを形成する頭部Bと形成しない頭部Aに分離された。また、ミオシンの片方の頭部が抗体Aと反応し、他の頭部がもう一方の抗体Bと反応し、ミオシンはABのヘテロダイマー構造を示された。
|