1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454635
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河村 悟 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80138122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 尚史 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40255427)
桑田 治 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30255426)
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Keywords | S-モジュリン / カルシウム結合蛋白質 / 視細胞 / 順応 / リン酸化 / リカバリン / 網膜 |
Research Abstract |
初年度の研究計画によれば、【.encircled1.】s26のアミノ酸配列の決定、【.encircled2.】s26の網膜内での局在、【.encircled3.】リカバリンにおけるS-モジュリン作用の検討、を明らかにすることを計画していた。このうち、【.encircled1.】と【.encircled3.】については研究が完了した。【.encircled2.】については引き続き研究を継続している。 今年度明らかになった結果として、【.encircled1.】については、PCR法によって得たcDNAのクローンからs26のアミノ酸一次配列を決定した。s26は同じカエル網膜にありながら、S-モジュリンに対してよりもビジニン(ニワトリの錐体特異的蛋白質)の方に高い相同性を有していることが明らかになった。さらにs26はEFバンド構造を持つカルシウム結合蛋白質であることも結論できた。【.encircled2.】に関しては、現在、s26の部分アミノ酸配列にしたがって合成したペプチドを抗原として抗体を作成中である。残念ながらまだ抗体価が低く、実用に至っていないが免疫を継続しており、近日中に予定した実験を行えるものと考えている。最近の研究によるとビジニンは必ずしも錐体に局在はしておらず、桿体にも存在するといわれている。ビジニンの機能も明らかになっていないが、s26はカエルにおけるビジニン相同物質であると考えられるので網膜内のどの細胞にも局在し、どのような機能を果たしているのかこれから明らかにしなければならないと考えている。【.encircled3.】に関しては、Stryer等によってS-モジュリンとは機能が異なる蛋白質として報告されたリカバリンが、S-モジュリンと同じようにロドブシンのリン酸化をカルシウム濃度依存的に阻害することを明らかにした。さらに、S-モジュリンとリカバリンとはアミノ酸の一次配列において80%以上の相同性を有することも明らかにした。これらの結果と、リカバリンがウシの桿体に存在するという報告から、リカバリンはウシS-モジュリンそのものであることを結論した。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] Satoru Kawamura: "Rhodopsin phosphorylation as a mechanism of cGMP phosphodiesterase regulation by S-modulin." Nature. 362. 855-857 (1993)
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[Publications] Satoru Kawamura: "Recoverin has S-modulin activity in frog rods." Journal of Biological Chemistry22GD02:268. 14579-14582 (1993)
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[Publications] Satoru Kawamura: "Molecular aspects of photoreceptor adaptation in vertebrate retina." International Review of Neurobiology. 35. 43-86 (1993)
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[Publications] 河村 悟: "視細胞における明順応の分子機構" 科学. 63. 303-311 (1993)
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[Publications] 河村 悟: "S-モジュリン" 生体の科学. 44. 247-248 (1993)
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[Publications] 河村 悟: "視細胞の順応とカルシウム結合蛋白質" Clinical Calcium. 3. 1476-1480 (1993)
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[Publications] Satoru Kawamura: "Molecular mechanism of light-adaptation in vertebrate photoreceptors.21GC07:Journal of Photochemistry and photobiology" (in press).
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[Publications] 河村 悟: "視細胞の順応調節蛋白質S-モジュリン" 医学のあゆみ. (印刷中).
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[Publications] 河村 悟: "視細胞機構発現のメカニズム:受容体からチャネルまで" 「イオンチャネルとレセプター研究の最近の進歩」実験医学、増刊. (印刷中).
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[Publications] 河村 悟: "分子神経科学の最先端 分担執筆 視覚の分子構造-網膜-" 厚生社(印刷中),
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[Publications] Satoru Kawamura: Chapman & Hall,London(in press)27HC02:Neurobiology oh the vertebrate outer retina 分担-Phototransduction.excitation and adaptation.-,