1993 Fiscal Year Annual Research Report
チトクロームP450の活性部位の設計原理-非天然型アミノ酸の部位特異的導入法を用いてアミノ酸残基の役割を解明する-
Project/Area Number |
05454636
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
島田 秀夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80095611)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江川 毅 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10232935)
向井 邦晃 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80229913)
木股 洋子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60255429)
広瀬 忠明 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60051405)
|
Keywords | チトクロームP450 / カンファー / 酸素化型 / 酸触媒 / プロトン / O-O結合開裂反応 / 非天然型アミノ酸 / 電子伝達 |
Research Abstract |
本研究では、細菌のチトクロームP450(P450cam)を用い、活性部位の設計原理を解明することを目的とする。P450camはカンファー水酸化酵素系(プチダレドキシン(Pd)還元酵素、PdそしてP450camから成る)の末端酸素添加酵素であり、次の反応を触媒する。この反応のd-camphor+NADH+O_2+H^+→5-exo-hydroxycampor+NAD_++H_2O過程でP450camは、Pdにより2度1電子還元される。最初は酸化型の、次は中間体として生じた酸素化型の還元である。本年度はこの最初の還元反応に重要な役割を持つアミノ酸残基を明らかにした。P450camの分子表面に位置するArg112残基は、Pdとの結合に重要なだけでなく、Pdからの電子伝達に関わる残基であることを示した。この結果、活性部位への電子供給系の一端を初めて明らかにできた。また本酵素の活性部位に位置するThr252をAla等に置換すると、酸素消費速度にほとんど影響は認められないが、水酸化反応は起こらず酸素は過酸化水素になることを我々は既に報告している。この過酸化水素は、反応過程で酸素が2電子還元された後、酸素のO-O結合が開裂してから生じた可能性が指摘されていた。しかし、本年度酸素の同位体を用いた実験を行いこの可能性を否定した。その結果ThrがO-O結合切断に必須である(酸触媒として働く)との従来の我々の見解が支持された。次に非天然型アミノ酸の導入について述べる。試験管内でのたんぱく合成を利用するSchutzらの方法は原理において正しく、我々はこの方法を用いる。この方法でP450camに応用する際、ヘムを持った、しかも分子量の大きい(45KDa)たんぱく質が活性を持った形で合成されるかどうかが問題であった。本年度は、まずこの問題を解決した。そして非天然型アミノ酸の導入に必要な材料を集め、そしてとThr252にThr-OCH_3が導入されたP450camの合成に成功した。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Hideo Koga: "Essential role of the Arg112 residue of cytochrome P450cam for electron transfer from reduced putidaredoxin21GC01:FEBS Letters" 331. 109-113 (1993)
-
[Publications] 島田 秀夫: "プチダレドキシンからチトクロームP450camへの電子伝達反応に関する二つのアミノ酸残基、112Argと251Aspの役割" 生化学. 65. 778 (1993)
-
[Publications] 牧野 龍: "共鳴ラマン法による変異チトクロームP450camの構造解析" 生化学. 65. 777 (1993)