1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454652
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 矩行 京都大学, 理学部, 助教授 (30025481)
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Keywords | 細胞分化 / 分化決定因子 / 分子的本質 / ホヤ / 筋肉細胞 / 転写制御因子 |
Research Abstract |
ホヤのオタマジャクシ幼生の発生にともなって42個の筋肉細胞が分化するが、この分化は予め卵細胞質中に存在する筋分化決定因子によると考えられている。この分化決定因子の分子的実体を、特に母系mRNAに着目して解析した結果、次のようなことが明らかになった。1.ユウレイボヤの未受精卵を遠心すると、卵核をもつ赤卵片、卵核をもたない黒、茶、透明卵片の4つに分かれる。これらを媒精すると、赤卵片のみが発生して永久胞胚になり表皮細胞のみが分化する。この赤卵片に黒卵片を融合したのち媒精すると、発生した部分胚で筋分化が起こる(茶、透明卵片には筋分化誘導能はない)。いま黒卵片にUVを照射すると、この卵片のもつ筋分化誘導能が失われる。しかし、UV照射された黒卵片にインタクトな黒卵片から単離したポリ(A)^+RNAを注入すると筋分化誘導能が回復する。したがって、筋分化決定因子の少なくとも一部は母性のmRNAであると思われる。現在、赤卵片および黒卵片のそれぞれのcDNAライブラリーを作製し、サブトラクション法により黒卵片特異的cDNAクローンの単離を試みている。もしそうしたクローンが得られれば、それらの一つ一つを赤卵片に注入して筋分化誘導能があるか否かをアッセイし、筋分化誘導能をもつcDNAクローンを同定する。 2.筋分化決定因子は卵割にともなって8細胞胚のB4.1割球(植物半球後側)に分配されるがa4.2割球(動物半球前側)には分配されない。B4.1割球およびa4.2割球のそれぞれのcDNAライブライーを作り、サブトラクション法によりB4.1割球特異的cDNAクローンを数個単離して解析した結果、そのうちの一つはADP/ATPトランスロケースをコードするcDNAであった。現在さらにスクリーニングを続けている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Swalla,Billie: "Novel genes expressed differentially in ascidians with alternate modes of development." Development. 119. 307-318 (1993)
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[Publications] Hikosaka,Akira: "Regulated spatial expression of fusion gene constructs with 5' upstream region of Halocynthia roretzi actin genes" Roux's Arch.Develop.Biol.203. 104-112 (1993)
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[Publications] Araki,Isato: "Expression of AMD1,a gene for a MyoD1-related factor in the ascidian Halocynthia roretzi." Roux's Arch.Develop.Biol.203(in press). (1994)
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[Publications] Marikawa,Yusuke: "Development of egg fragments of the ascidian Ciona savignyi." Develop.Biol.126(in press). (1994)
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[Publications] Miya,Takahito: "Expression of a gene for major mitochondrial protein ADP/ATP translocase during embryogenesis of ascidians." Develop.Growth Differ.36(in press). (1994)
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[Publications] Satoh,Noriyuki: "Developmental Biology of Ascidians" Cambridge University Press, 234 (1994)