1995 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質に於ける遅発性神経細胞壊死の発生機序の研究
Project/Area Number |
05454657
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
黒岩 俊彦 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (80129832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桶田 理喜 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70013977)
堀川 順生 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (50114781)
谷口 郁雄 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60014255)
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Keywords | 大脳皮質 / 脳虚血 / 遅発性神経細胞壊死 |
Research Abstract |
我々は軽微な虚血侵襲後に徐々に生じてくる大脳の神経細胞壊死(遅発性神経細胞壊死)の発生機序について:(1)大脳の動脈潅流域の分水界や大脳皮質の中層に好んで生ずる機序、(2)壊死に至る過程における虚血後神経細胞の細胞内呼吸障害(細胞内呼吸酵素活性低下)の役割、の2点について今回我々が開発した細胞内呼吸酵素活性をCCDカメラを用いてリアルタイムに画像化する方法を用いて検討した。 その結果細胞内呼吸酵素の一つであるコハク酸脱水素酵素活性は大脳の動脈潅流域の皮質中層でまず低下し始めること、海馬Sommerセクターの錐体神経細胞層および錐体神経細胞の細胞体あるいは軸索や樹状突起が達している領域におけるコハク酸脱水素酵素活性は海馬の他の領域に比べて低値であること等があきらかになった。今回の所見は神経組織の細胞呼吸酵素活性が低いこと、すなわち好気的ATP産生能が低いことが選択的脆弱性の原因である可能性を示唆している。このような細胞内呼吸酵素活性の低値-あるいはより一般的に、細胞内呼吸系の弱点-が何らかの形で関与して一過性全脳虚血後にその領域に蛋白質の合成の障害が選択的に生じ、数日の経過で神経細胞の壊死に至るものと推察された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Piao Y,Kuroiwa T,他: "Prevention by Minaprine of ischemic neuronal damage and memory impairment in Mongolian gerbils." Jpn J Psychopharmacology. 15. 157-163 (1995)
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[Publications] 黒岩俊彦他: "大脳海馬Sommer's sectorにおけるコハク酸脱水素酵素活性の定量的画像化と遅発性神経細胞壊死" 日本病理学会会誌. 84. 273- (1995)
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[Publications] 黒岩俊彦他: "スナネズミ全脳虚血の虚血時間による反応性高血流および遅発性低血流の出現時間・強度の変化" Jap J Cereb Blood Flow Metabol. 7. 158- (1995)
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[Publications] 黒岩俊彦他: "一過性全脳虚血後の海馬錐体神経細胞の選択的脆弱性と細胞内呼吸酵素活性の相関" 神経病理学. 15. 68- (1995)