1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454662
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
野田 昌晴 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (60172798)
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Keywords | 神経結合 / 網膜 / 視蓋 / PCR |
Research Abstract |
網膜視蓋投射系における特異的神経結合形成を担う分子的実体を明らかにすることを最終的目標として以下の実験を行った。 1)ニワトリ網膜神経節細胞の単離と培養 網膜の神経節細胞層において、側頭側(T)あるいは鼻側(N)半分に特異的に発現する分子を探索するための第一歩として、網膜神経節細胞層を単離し、これを培養する系の確立を試みた。生後10-12日のラット網膜において報告されている方法に基づいて、ニワトリ7-10日目胚の網膜から神経節細胞層を単離、培養することを試みたが、これを純粋に分離すること、また細胞の生存率を確保することは極めて困難であることが判明した。これは、この時期のニワトリ胚においては網膜は充分に分化しておらず細胞層自身の境界が完全に分離していないこと、また方法論的に乾燥が避けられないことによると考えられる。現在、Immorto Mouseの系を使うことを検討している。 2)側頭側網膜神経節細胞に特異的に発現する分子の探索 ニワトリ8日胚網膜からT側及びN側約3分の1をそれぞれ分離し、これよりmRNAを抽出、cDNAライブラリーを調製した。このT‐cDNA及びN‐cDNAを用いて、PCRとHybridization subtraction法を組み合わせたcDNA濃縮法によって、T‐cDNAに特異的に存在する分子の濃縮を行った。この方法によってT‐cDNAに特異的と判明したいくつかのクローンについてNorthern hybridization解析を行った。現在のところ、RNAレベルでT、Nにおいて発現量に差を示すものは得られていない。しかしながら、本法によってT‐cDNAにのみ存在するcDNAが明らかに濃縮されており、初発のT‐、N‐cDNAにおいて実験的バイアスが存在しなければ、本法は極めて有効であることを示している。
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