小脳傍片葉-小脳核系による追跡眼球運動制御機構の生理及び解剖学的研究

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 05454676
• Research Institution: Jichi Medical University
• Principal Investigator: 永雄 総一 自治医科大学, 医学部, 助教授 (40164397)
• Keywords: 小脳 / 小脳核 / 追跡眼球運動 / サッケード眼球運動 / 傍片葉 / 随意運動 / 制御 / 霊長類

Research Abstract

本年度は、3頭の日本猿慢性標本を用いて、小脳核のほぼ全領域に微小電極を刺入し局所刺激を行い、誘発される眼球運動をサーチコイル法で記録し、組織学的に刺激部位を同定した。。その結果、小脳室頂核、中位核、歯状核にそれぞれ遅い眼球運動と速い眼球運動に関与する領域がともに存在することを見いだした。室頂核の最内側には、刺激開始後20-30ミリ秒後に水平もしくは垂直性の遅い眼球運動の誘発される領域があり、そのやや外尾側に刺激開始後30-50ミリ秒後に水平もしくは垂直性の速い眼球運動の誘発される領域が存在した。次に、前中位核の内側には速い眼球運動の誘発される領域があり、そのやや尾側の後中位核の腹側には、刺激開始後20-30ミリ秒後に水平もしくは垂直性の遅い眼球運動の誘発される領域が存在した。さらに歯状核に関しては、その最頭側には、刺激開始後15ミリ秒後に垂直性の遅い眼球運動が誘発される領域があり、また尾側には、刺激開始後30-40ミリ秒後に垂直性速いもしくは遅い眼球運動が誘発される領域が存在した。これらのことは、3つの小脳核がそれぞれ独立に、サッケードもしくは追跡眼球運動の制御に関与していることを示唆している。室頂核系の眼球運動領域は小脳虫部ないし傍虫部と、中位核-歯状核系の眼球運動領域は小脳傍片葉とそれぞれ結合していることが解剖学的にも想定され、今後この2系の機能的な差異について検討する予定である。これらの結果を平成6年度の神経科学学会で発表するとともに、速やかに学会誌に投稿する予定である。

Research Products

• [Publications] Nagao S.: "Primate eye fields in the deep cerebellar nuclei determined by local stimulation technique." Neuroscience Research. 19. 174-174 (1994)
• [Publications] Nagao S.: "Neuronal circuitry underling VOR adaptation." Journal of Vestibular Research. 4(印刷中). (1995)
• [Publications] 永雄総一: "前庭動眼反射" 生体の科学. 45. 446-447 (1994)
• [Publications] 永雄総一: "瞬膜反射" 生体の科学. 45. 414 (1994)