1994 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の嗅球・嗅皮質ニューロンにおける匂い分子コーディングと嗅糸球の機能
Project/Area Number |
05454684
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
森 憲作 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究副部長 (60008563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 良浩 大阪医科大学, 医学部, 講師 (20220717)
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Keywords | 匂い分子 / 嗅覚 / 嗅球 / 嗅糸球 / 僧帽細胞 / 電気生理学 |
Research Abstract |
匂い分子は嗅上皮中の嗅細胞で受容され、その情報は嗅神経線維を介して、匂い分子受容体ごとに嗅球内の異なった糸球へと集められる。嗅球内の神経回路が、この嗅神経からの情報をどのように処理しているかを調べる目的で、ウサギ嗅球内の僧帽細胞/房飾細胞から細胞外単1ユニット記録をおこなった。本実験では、匂い分子コーディング様式を調べるのと並行して、嗅球内の僧帽細胞/房飾細胞と顆粒細胞との間の樹状突起間シナプスを伝達物質受容体のアンタゴニストを用いて遮断することにより、匂い分子コーディング様式がどのように変化するかを調べた。 炭化水素鎖の長さが系統的に変化する一群の直鎖アルデヒド分子を匂い分子として用いたところ、個々の僧帽細胞/房飾細胞は、炭化水素鎖の長さが近接した2〜3種のアルデヒド匂い分子に対して選択的に興奮性応答を示すとともに、この興奮性匂い分子と炭化水素鎖の長さが類似したアルデヒド分子に対して、抑制性の応答を示した。グルタミン酸受容体のアンタゴニストやGABA受容体のアンタゴニストで樹状突起間シナプスを遮断すると、抑制性匂い応答のみが選択的に消失した。 上記の結果より、抑制性の匂い応答は、樹状突起間シナプス経路によって引き起こされることが示されたとともに、嗅球内神経回路が、匂い応答のチューニングを非常に高めることにより、嗅覚情報の識別に寄与していることが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] YOKOI,M.: "Refinement of odor molecule tuning by dendrodendritic synaptic inhibition in the olfactory bulb" Proceedings of National Academy of Science,USA. (印刷中). (1995)
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[Publications] MORI,K.: "Molecular receptive range properties of mitral/tufted cells in the mammalian main olfactory bulb" Olfaction and Taste. XI. 429-432 (1994)
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[Publications] MORI,K.: "Molecular recognition and olfactory processing in the mammalian olfactory system" Progress in Neurobiology. (印刷中). (1995)
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[Publications] MORI,K.: "Emerging principles of molecular signal processing by mitral/tufted cells in the olfactory bulb" Seminars in Cell Biology. 5. 65-74 (1994)
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[Publications] KOSHIMOTO,H.: "Immunohistochemical demonstration of embryonic expression of odor receptor protein and its zonal distribution in the rat olfactory epithelium" Neuroscience Letters. 169. 73-76 (1994)