1993 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞の血流情報感知・応答機構に関する生体工学的研究
Project/Area Number |
05454692
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 譲二 東京大学, 医学部(医), 客員助教授 (20159528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 暸 東京大学, 医学部(医), 教授 (50014072)
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Keywords | 血管内皮細胞 / ずり応力 / 細胞内カルシウム / ATP / セカンドメッセンジャー |
Research Abstract |
内皮細胞のずり応力感知機構に関しては培養内皮細胞に細胞外ATPの存在下で装置内で定量的な流れを作用させたところ流速に比例した細胞内Ca^<++>濃度の上昇反応が観察された。このことは内皮細胞に流速の変化を感知してその情報をセカンド・メッセンジャーであるCa^<++>を介して内部に伝達する機構の存在することを示唆していると思われた。この流速に対応したCa^<++>上昇反応がずり速度あるいはずり応力のどちらに依存しているかを検討する目的で潅流液の粘性を変えた流れ負荷実験を行った。その結果Ca^<++>上昇率はずり速度ではなくずり応力に依存していることが判明した。また細胞外K^+濃度を高くして(90mM)細胞膜を脱分極させた状態で流れを負荷しても同様にずり応力依存性のCa^<++>上昇反応が出現するのを観察した。これらの結果はおそらくK^+イオンチャンネルとは関連しないで、ずり応力を感知し、細胞内Ca^<++>変化を起こす機構の存在することが示唆された。以上平成5年度の研究の結果、血管内皮細胞に物理的刺激であるずり応力に反応し、その強さ依存性に細胞内Ca^<++>上昇を起こす機構の存在する可能性が示唆された。このずり応力依存性のCa^<++>反応が起きるためには細胞外にATPの存在することが必要であり、内皮細胞膜に存在するpurinoceptorが何らかの形で関与していると思われた。こうしたreceptor-operatedでその開閉率がずり応力に規定されるCa^<++>チャンネルが内皮に存在すると今回観察した所見はうまく説明できるかもしれない。今後はずり応力依存性のCa^<++>上昇に関与するCa^<++>チャンネルの同定が重要な課題と思われた。また内皮の流れ感知機構に関しては細胞膜電位やK^+チャンネル、Cl^-チャンネルあるいは接着分子から細胞骨格への情報伝達系を含めた幅広いアプローチが必要と考えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] R.Korenaga: "Laminar flow stimulates ATP- and shear stress-dependent nitric oxide production in cultured bovine endothelial cells" Biochem.Biophys.Res.Commun.198. 213-219 (1994)
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[Publications] A.Kamiya: "Vascular endothelial cell functions and biomechanics." Endothelium. 1. 127-130 (1993)
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[Publications] A.Ohtsuka: "The effect of flow on the expression of vascular adhesion molecule-1 by cultured mouse endothelial cells" Biochem.Biophys.Res.Commun.193. 303-310 (1993)
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[Publications] J.Ando: "Wall shear stress rather than shear rate regulates cytoplasmic Ca^<++> responses to flow in vascular endothelial cells" Biochem.Biophys.Res.Commun.190. 716-723 (1993)
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[Publications] J.Ando: "Flow-induced calcium transients and release of endothelium-derived relaxing factor in cultured vascular endothelial cells" Frontiers Med.Biol.Engng.5. 17-21 (1993)
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[Publications] R.Korenaga: "Close correlation between cytoplasmic Ca^<++> levels and release of an endothelium-derived relaxing factor from cultured endothelial cells" Cell Struct.funct.18. 95-104 (1993)
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[Publications] J.Ando: "The regulation of coronary blood flow" Springer-Verlag Tokyo, 327 (1991)