1993 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物による低沸点臭化物の発生機構とそのオゾン破壊に与える影響
Project/Area Number |
05455008
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊藤 伸哉 福井大学, 工学部, 助教授 (90213066)
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Keywords | モノハロメタン / 臭化メチル / ヨウ化メチル / 海洋プランクトン / 海洋生物 / オゾン破壊 |
Research Abstract |
本年度は主に種々の海洋生物についてモノハロメタン発生の有無を検索した。約30種の海藻を採集するとともに、海洋プランクトン約20種について大量培養法を検討した。海藻については2種にヨウ化メチルの放出を確認した。さらに培養した海洋プランクトン3種にヨウ化メチルを、またその中の一種に臭化メチルの発生を確認した。これは従来全く不明であったモノハロメタンの発生を種レベルで確認した最初の報告である。さらに両者を放出する海洋プランクトンについて、その発生機構を明確にする目的で酵素の検索を行った。その結果、同プランクトンが従来知られていない新規な酵素を含有しており、モノハロメタンが同酵素反応により生成することが明らかになった。現在、本酵素の精製法の確立、および酵素化学的諸性質についての検討を行っている。また、これらの海洋生物がどの程度のモノハロメタンを放出するかについておおよその定量を行った。今後、こうしたデータを基に、臭化メチルおよびヨウ化メチルの海洋からの発生量とその機構を詳細に検討する予定である。
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[Publications] 伊藤伸哉,新家勝: "海洋生物が生産する低沸点臭化物の生成機構" バイオサイエンスとインダストリー. 51(8). 23-26 (1993)
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[Publications] N.Itoh and M.Shinya: "Seasonal Evolution of Bromomethanes from Coralline Algae(Corallinaceae)and Its Effect on Atmospheric Ozone" Marine Chemistry. 45. 95-103 (1994)