1993 Fiscal Year Annual Research Report
中性子コンプトン散乱法及び中性子共鳴吸収法の実用化
Project/Area Number |
05504001
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Research Institution | National Laboratory for High Energy Physics |
Principal Investigator |
池田 進 高エネルギー物理学研究所, ブースター利用施設, 助教授 (80132679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 義一 応用光研工業, 取締役
古坂 道弘 高エネルギー物理学研究所, ブースター利用施設, 助教授 (60156966)
渡辺 昇 高エネルギー物理学研究所, ブースター利用施設, 教授 (40005286)
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Keywords | コンプトン散乱 / 中性子共鳴吸収 / 中性子散乱 |
Research Abstract |
本研究は、我々が高エネルギー物理学研究所のパルス中性子源(KENS)から得られる高強度のeV領域の中性子を使って、中性子コンプトン散乱法並びに中性子共鳴吸収法の実用化を目的としている。平成5年度においては、中性子ビームを利用しながら、本研究計画で求められているバックグランドが低い小型で高性能なgamma線検出器、gamma線のエネルギーを識別しながら同時にgamma線の到達した時間を認識する中性子散乱研究用時間分析器(TA)を開発するとともに、これをもとに、中性子コンプトン散乱装置と中性子共鳴吸収研究装置用検出器の一部を製作した(設備備品明細書のgamma線検出器、電子回路の項参照)。散乱槽としては小型冷凍機を着けたアルミニウム製真空槽(設備備品明細書の中性子散乱槽の項参照)を製作し、また、中性子ビームを整形するためのコリメータ(設備備品明細書の中性子ビーム遮蔽体の項参照)を製作した。これらの開発研究・実用装置の設計製作と同時に、既存の装置と新しく開発された検出器を用い、中性子コンプトン散乱法並びに中性子共鳴吸収法を用いた実験研究を行った。中性子共鳴吸収法を用いて、TaS(層状物質)の中のTa原子の平均運動量<P^2>を測定し、回折実験で求められている空間揺らぎ<r^2>から、固体中での不確定性原理の正否を研究した。また、中性子コンプトン散乱法を用いて、グラファイトの中の炭素原子の平均運動量<P^2>を測定するとともに、水素結合物質KDP単結晶を回転させて、KDP中の水素の基底状態の波動関数をいろいろな角度から詳しく研究した。これらの研究報告は現在執筆中である。
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