1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05505001
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥山 文雄 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (30024235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
最上 明矩 日本電子(株), 基礎研究部, 基礎研究部長
種村 眞幸 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (30236715)
北 重公 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (60006153)
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Keywords | 真空マイクロエレクトロニクス / フィールド・エミッション / スパッタリング |
Research Abstract |
本研究の締めくくりとして、ダイヤモンドエッターの特性評価を行なったのでその概要を以下に報告する。 ダイヤモンドは、構造的には半導体に属するが、band gapが大きく、電気伝導度は極めて低い。従って、固体内電子流を必要とする電子放射源としては機能しにくいことが予想される。しかしながら、ダイヤモンドの電子親和力は負であり、ダイヤモンド表面からの電子脱出は極めて容易である。ダイヤモンド薄膜はFEエミッターに利用する試みが世界的になされているが、その背景には、このような事実がある。 もとより、本研究での試作装置内でダイヤモンド薄膜をつくることはできない。以下に報告するのは、試作装置で行った、外部作製ダイヤモンド膜のFE特性評価である。 本実験では、W(タングステン)フィラメント(0.1mmφ)上に、ダイヤモンド薄膜の堆積を試みた。用いたダイヤモンド合成法は、パルスプラズマCVDである。フィラメント表面の拡大SEM像から、微結晶からなるダイヤモンド層が表面に形成されていることが確認された。当初、この種の試料からはFEEが確認できず、パルスプラズマCVD法で得られるダイヤモンド膜は、FE電子源として不適格であるとの印象を持った。ところが、フィラメントの加熱を試みたところ、約400℃を境にして、放射電流が劇的に増加するという、驚くべき事実が明らかとなった。これは、従来予想だにされなかった新事実であり、この新発見によって、ダイヤモンドFEAsは、その実用化に向けて、大きな一歩を踏み出したといっても過言ではない。それと同時に、この発見は、ダイヤモンドのFEEにかかる基礎研究にも一石を投じたものであり、VMEにおける一大トピックのひとつに数えることができる。これを機に当研究室では、この“diamond-on-filmament"型FEAsの実用化に総力を上げて取り組むと共に、ダイヤモンド結晶からのFEEメカニズムにもアプローチを試みる計画である。
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[Publications] 加藤・野津・藤本・奥山・種村: "structure and morphology of microprotrusions grown on Ar-sputtered InP" J. Vac. Sci. Technol.A13. 207-215 (1995)
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[Publications] 藤本・野津・奥山: "Geometry and structure of sputter-induced cones on nickel-seeded silicon" J. Appl. Phys.77. 2725-2734 (1995)
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[Publications] 張・藤本・奥山: "Unusual texturing of Ar-sputtered InP surfaces associated with Ni-seeding" Nuclear Instruments and Methods. B101. 306-310 (1995)
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[Publications] 奥山・加藤: "Indium phosphide whiskers grown by ion bombardment" Surface Sci. Lett.338. 857-862 (1995)