1994 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインキナーゼC分子種選択的活性調節機構の解析と特異的活性調節物質の検索
Project/Area Number |
05507001
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西塚 泰美 神戸大学, 医学部, 教授 (10025546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻田 浩司 神戸大学, 医学部, 助手 (60204103)
中村 俊一 神戸大学, 医学部, 助教授 (40155833)
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Keywords | 細胞内情報伝達 / プロテインキナーゼC / ホスホリパーゼA2 / ホスホリパーゼD / ジグリセリド |
Research Abstract |
イノシトール燐脂質のみならず受容体刺激に連動した種々の細胞膜燐脂質の加水分解反応がプロテインキナーゼC(PKC)活性化と共役することが明かになりつつある。この受容体刺激に連動した細胞膜燐脂質の加水分解反応の調節機構を検討することは、PKCの活性化の仕組みを理解する上で極めて重要である。そこで、私共は、細胞膜燐脂質のうちのホスファチジルコリン(PC)に注目し、この燐脂質のホスホリパーゼA_2(PLA_2)とホスホリパーゼD(PLD)による加水分解反応のPKC活性化に果たす役割について検討した。膜透過性細胞を用いた解析により、PLA_2の活性調節にチロジンの燐酸化反応、PKCによるセリン・トレオニンの燐酸化反応が関与していることが示唆された。この際、GTPγSの作用もうけるため、G-蛋白質と共役した受容体からの調節の可能性も示唆される。また、Ca2+は活性調節には影響を与えなかった。 次にホスホリパーゼD(PLD)もまた、単一のシグナル、ことに増殖因子の刺激によって活性を発揮し、PCよりDAGを供給する。PLDを動物組織より抽出解析したところ、この酵素は、PLA2と異なりGTPγSを必須として要求し、このほかに、PKCおよび、チロジンキナーゼによる燐酸化反がいずれもこの酵素の活性調節に関与していることを示唆する結果を得た。PLDは細胞膜、ないし細胞骨格に強く結合していて、このほかに細胞質の可溶性因子が必要である。したがってPLDは、細胞内情報伝達網の中に組み込まれていると想像される。以上のように、細胞膜に与えられた単一のシグナルは、細胞膜の種々の燐脂質の分解カスケードをひきおこし、その代謝生成物のいずれもが、PKCを介する情報伝達網に関与している可能性が生まれてきた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakamura,S.: "Lipid mediators and protein kinase C activation for intracellular signaling network" J.Biochem.115. 1029-1034 (1994)
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[Publications] Tsujishita,Y.: "Regulation of phospholipase A2 in human leukemia cell lines:Its implication for intracellular signaling." Proceedings of National Academy of Sciences USA. 91. 6274-6278 (1994)
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[Publications] Nishizuka,Y.: "Protein kinase C and lipid signaling for sustained cellular responses" FASEB J.(in press).
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[Publications] Nakamura,S.: "Lipid second messenger and protein kinase C for intracellular signalling." Pharmacological Sciences. (in press).
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[Publications] Asaoka,Y.: "Handbook of lipid research" Prenum press(Bell,R.M.,Prescott,S.M.and Exton,J.H.eds)(in press),
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[Publications] Nakamura,S.: "Protein kinase C and lipid signaling for cellular regulation" Nato/FEBS Symposium Series(Parker,L.ed.)(in press.),