1994 Fiscal Year Annual Research Report
ZnSe系半導体青色発光素子のオーム性電極材料開発
Project/Area Number |
05555003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 正紀 京都大学, 工学部, 教授 (70229970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 彰 シャープ中央研究所, 主任研究員
桜井 武 シャープ中央研究所, 副所長
大槻 微 京都大学, 工学部, 助手 (10026148)
奥 健夫 京都大学, 工学部, 助手 (30221849)
小出 康夫 京都大学, 工学部, 助教授 (70195650)
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Keywords | ZnSe / オーミック・コンタクト / 自然酸化膜 / 仕事関数 / Au,Nb,Cu,Ag,Ni / Cd基およびTe基 |
Research Abstract |
本年度は、以下の3つの目的に従って研究を進めた。即ち、(1)ZnSe表面の化学的構造を明らかにするとともに、表面を清浄化するエッチング液を見出す。(2)表面の清浄化を行った後に種々の単一金属コンタクトをp型ZnSe上に作製し、電流-電圧(I-V)特性および界面構造を調べ、オーミック・コンタクト材として用いる場合の特徴を把握するともに指針を得る。(3)熱処理後に低障壁中間層を形成すると期待されるCd基コンタクト材のI-V特性および界面構造解析を行い、今後の指針を得る。この結果、以下の重要な指針を得た。 (1)X線光電子分光により、MBE成長させたZnSe表面には、ZnOおよびSeO_Xから成る自然酸化膜層が存在していることがわかった。これらの自然酸化膜層は飽和ブロム水系のエッチング液によりほぼ除去される。NiコンタクトのI-V特性を調べた結果、自然酸化膜層を除去することにより、その立ち上がり電圧(V_T:ブレークダウン電圧)は、約1/4に減少することが判明した。以上より、オーミック・コンタクト材開発のためには、ZnSe表面の自然酸化膜を除去することが必要であると言える。 (2)In,Cd,Nb,W,Cu,Ag,Ni,Au,およびPtとp型ZnSeとのコンタクト特性を調べた結果、Cu,Ag,Niにおいて約3VのV_T値を得ることができた。この中でもNiは、再現性良く3Vの値が得られ、コンタクト材として用いるのに適しているものと考えられる。 (3)Cd基コンタクト材のI-V特性および界面構造を解析した結果、Cdは250℃以上の温度でZnSeと反応し、CdリッチなCd_XZn_<1-X>Se(x≧0.9)層を形成することがわかった。これに対応してV_T値は250℃以上において11Vから5Vまで減少した。以上より、Cd_XZn_<1-X>Se層は金属/ZnSe界面において低障壁を形成する中間層として働いていることがわかった。以上の業績は、J.Appl.Phys誌に3編の学術論文として発表予定(平成7年3月投稿)である。
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