1993 Fiscal Year Annual Research Report
気相成長酸化物超電導薄膜の塑性加工による特性向上及びマグネットの試作
Project/Area Number |
05555030
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 和典 東京工業大学, 工学部, 教授 (80016419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井関 日出男 東京工業大学, 工学部, 助手 (50089819)
大竹 尚登 東京工業大学, 工学部, 助教授 (40213756)
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Keywords | 超電導薄膜 / マグネット / 塑性加工 |
Research Abstract |
酸化物超電導薄膜作製用のRFスパッタリング装置を作製した。この装置による成膜速度は1μm/h程度と遅く,超電導導体作製用の合成装置として用いることが出来なかったので,電極に磁石を挿入してRFマグネトロンスパッタリング形式に改良した。この装置は,2インチターゲット用マグネトロン電極,出力500Wの高周波電源,基板加熱機構,真空容器及び拡散真空ポンプ排気系からなっており,この装置により安定した放電を長時間維持することが出来ることが確認された。そこでこの装置を用いて,ZrO2(100)を基板としてYBaCuO薄膜の合成条件の検討を行った。まず陽極上に基板を設置して合成を行った場合,電子衝撃の影響や物質によるスパッタ率の差によって組成にずれが生じ,Baの欠損状態となって,如何なる条件でも超電導特性を示す膜を作製することはできなかった。そこで,基板を陰極と陽極の中間の位置に両者に直角に設置した。その結果,Y:Ba:Cu=1:2:3の組成のターゲットを用い,放電電力150W,基板温度650℃の条件で,合成を行うことにより臨界温度90Kの超電導薄膜を合成できることがわかった。また,成膜速度は30μm/hと高速であり,この装置は酸化物超電導体膜の作製に十分用いることの出来ることがわかった。そこで次に,塑性加工による導体化及びマグネット作製へのアプローチとして銀の基板上への超電導体の合成を行った。その結果,超電導膜が得られたが,結晶配向の制御が十分でなくC軸配向した膜は得られず,さらに来年度に詳細に合成条件を検討する予定である。また,この膜の塑性加工による配向制御法として異周速圧延および押出し法の両者を検討し,装置の設計を行った。来年度にこの試作を行う予定である。
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