1993 Fiscal Year Annual Research Report
球面収差補正用サイドエントリー薄膜レンズによる走査透過電子顕微鏡の高分解能化
Project/Area Number |
05555099
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
花井 孝明 名古屋大学, 工学部, 講師 (00156366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 せつ子 財団法人名古屋産業科学研究所, 専任助教授 (00115586)
田中 成泰 名古屋大学, 工学部, 助手 (70217032)
日比野 倫夫 名古屋大学, 工学部, 教授 (40023139)
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Keywords | 球面収差 / 収差補正 / 薄膜レンズ / 走査透過電子顕微鏡 / 非回転対称収差 / 統計ノイズ / 信号演算処理 |
Research Abstract |
1.走査透過電子顕微鏡(STEM)用薄膜レンズの設計 (1)薄膜レンズの球面収差補正特性の計算:使用するSTEMに対して最適な補正特性を持つ薄膜レンズを設計するため,薄膜レンズの形状パラメータを変えて3次と5次の球面収差係数を計算した.その結果,実用上可能な薄膜レンズ電圧で補正を達成するためには,薄膜レンズをプローブフォーミングレンズの上側磁極片にできるだけ近付けて配置し、薄膜レンズ電極の孔径を従来より小さく0.3mm以下にする必要があることが分った. (2)サイドエントリー薄膜レンズの設計と製作:上の計算結果に基づいて,新しい薄膜レンズの設計・製作を行った.薄膜レンズの軸ずれにより起こる非回転対称収差を軽減するため,薄膜レンズを上下左右に微動でき,さらに光軸に対する傾きも補償できるようにした. 2.非回転対称収差解析法の検討 薄膜レンズの光軸のずれにより生じる非回転対称収差を検出・除去するために,陰影像に現れる倍率無限大リングと光軸のずれの関係を検討した.その結果,薄膜レンズの光軸に対して垂直方向のずれは倍率無限大リングの非回転対称性となり,光軸に対する傾きはリング強度の不均一となって現れることが分った. 3.信号電子検出系の構築と信号演算処理法の検討 薄膜レンズの薄膜で非弾性散乱された電子による像のSN比の低下を防ぐため,明視野/暗視野(BF/DF)STEM検出器と専用の電源を備品として購入し,信号電子の同時検出と演算処理を行う検出系を構築した.演算処理法として,非散乱電子数を全検出電子数で正規化する方法が統計ノイズの低減に有効であることも分った.
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[Publications] 花井 孝明: "最大エントロピー法を用いた画像処理のSTEMへの応用" 日本電子顕微鏡学会「電子顕微鏡による材料研究のための新手法」研究部会予稿集. 16-20 (1993)
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[Publications] 日比野 倫夫: "Spectrum-acquisition Imaging System for STEM Elemental Mapping using PEELS with a Moderate-scale Detector." Proc.7th Chiness-Japanese Electron Microscopy Seminar(in print). 1. (1993)
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[Publications] 田中 成泰: "Raman Scattering of InGaAsP Lattice-matched to GaAs in the Region of Immiscibility." Japanese Journal of Applied Physics. 32. 2718-2721 (1993)