1995 Fiscal Year Annual Research Report
球面収差補正用サイドエントリ-薄膜レンズによる走査透過電子顕微鏡の高分解能化
Project/Area Number |
05555099
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
花井 孝明 名古屋大学, 工学部, 講師 (00156366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 せつ子 財団法人 名古屋産業科学研究所, 専任助教授 (00115586)
田中 成泰 名古屋大学, 工学部, 助手 (70217032)
日比野 倫夫 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (40023139)
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Keywords | 球面収差 / 収差補正 / 薄膜レンズ / 走査透過電子顕微鏡 / 陰影像 / 電子プローブ / 量子ノイズ |
Research Abstract |
1.5次の球面収差を考慮した薄膜レンズの球面収差補正特性の評価:前年度に陰影像を用いた新しい方法で測定した球面収差係数は,薄膜レンズ印加電圧が高くなるにつれて計算値との不一致が顕著となった.この理由は,測定の際に5次の球面収差を考慮していないためと考え,5次の球面収差係数を計算により求め,3次の球面収差係数の測定値の補償を行った.その結果,測定値と計算値はよく一致し,作製した薄膜レンズが期待通りの球面収差補正特性を持つことが分った. 2.薄膜レンズを用いた走査透過電子顕微鏡(STEM)像の観察:薄膜レンズをSTEM装置に組み込み,加速電圧200kVにおいて金微粒子の観察を行って,薄膜レンズを用いない通常の像と比較した.このとき,電子プローブ電流は一定に保ち,薄膜レンズを用いたときには,電子線開口角を20mradと通常の約2倍に大きくすることによって,プローブのガウス径を約1/2に小さくし,大きな開口角のために増大した球面収差を補正した.その結果,薄膜レンズ球面収差を補正した方が細かい粒子まで分離して観察でき,分解能の向上が実証できた.球面収差補正により商用の装置の分解能を向上できたのは,世界的にみて本研究が初めてである. 3.電子プローブ電流密度の計算による検討:補正実験の結果を評価するために,プローブの電流密度分布を計算した.その結果,薄膜レンズを動作させないときに大きく広がっていた分布が,補正により改善されて,薄膜レンズ電圧350Vで収差のない理想的な分布にほぼ一致した.この最適な薄膜レンズ電圧は,実験で最も高い分解能が得られたときの電圧と一致した.また,この電圧において,3次の正の球面収差が5次の負の球面収差と互いに打ち消し合うことにより,ほぼ完全な補正が実現できたことも分った.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 花井孝明: "Effect of the Three-Fold Astigmatism on the Foil Lens Used for Correction of the Spherical Aberration of a Probe-Forming Lens" Optik. 97. 86-90 (1994)
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[Publications] 花井孝明: "Immprovement of Maximum Entropy Method for Reduction of the Statistical Noise in Electron Microscope Images" Electron Microscopy 1994. 1. 435-436 (1994)
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[Publications] 花井孝明: "Characteristics and Effectiveness of a Foil Lens in Correcting the Spherical Aberration of Electron Probe Instrumwnts" Abst.4th Int.Conf.Charged Particle Optics. 226-227 (1994)
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[Publications] 日比野倫夫: "Detection System for Fast STEM Elemental Mapping Using Parallel EELS with a Moderate-Scale Detector" Microbeam Analysis. 3. 299-303 (1994)
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[Publications] 日比野倫夫: "Formation of Fine Electron Probe by Correction of the Spherical Aberration and Its Application to STEM" Proc.!st China-Japan Joint Symposium on Microbeam. 33-38 (1994)
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[Publications] 花井孝明: "Increase of Current Density of the Electron Probe by Correction of the Spherical Aberration with a Side-Entry Type Foil Lens" Journal of Electron Microscopy. 44. 301-306 (1995)