1993 Fiscal Year Annual Research Report
価格差を考慮した多地域計量モデルによる交通基盤整備プロジェクト評価システムの開発
Project/Area Number |
05555150
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
安藤 朝夫 熊本大学, 工学部, 助教授 (80159524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝上 章志 九州東海大学, 工学部, 助教授 (20135403)
柿本 竜治 熊本大学, 工学部, 助手 (00253716)
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Keywords | 中国経済 / AGE / CGEモデル / 財・価格均衡 / 多地域モデル / 産業連関分析 / 地域間交易 / ノンサーベイ法 / プロジェクト評価 |
Research Abstract |
途上国において、経済援助の一環として交通基盤整備などを行う場合、当該プロジェクトが対象国のマクロ指標のみならず、地域バランスに与える影響の検討が重要である。一般に途上国では、十分な地域データの入手が困難であるが、本研究は中国を対象に、全国産業連関表と限られた地域データから、財・価格の均衝条件を考慮して、ノンサーベイ的に交通施設整備の地域別影響評価に利用可能な多地域モデルを提案する。 基本的なモデルは、1985年単年に関して一通りの完成を見ているが、部分的にはデータ・モデルの両面に多くの問題を残しており、また結果の検証も、データ上の制約から不十分であった。そこで本年度は以下の点を中心に研究を行った。 (1)モデル開発を段階的に進めて来た関係で、輻輳していたプログラムを整理し、一貫性を持つものに改訂すると共に、必要な修正を行った。 (2)交通施設の現状を表現する上で重要な、鉄道リンク容量を物理的条件から計算する方式と、鉄道以外のモード導入に関して検討を行った。 (3)従来のモデルでは、交通施設整備に起因する経済規模の拡大が考慮されず、単に地域間配分が変更されるのみであったため、規模の拡大を反映した比較を試みた。 (4)中国国務院により、1987年の地域連関表が作成されている現状に鑑み、データの基準年を1987年に変更し、必要なデータを整備した。 (5)地域表の内、現時点で唯一公表されている北京表、及び地域間鉄道貨物輸送量を用いて、モデル計算値の検証を行った。 現在のモデルには不備な点もあるが、全体としてみれば、少ない地域データで多地域市場を整合的に表現し得るという意味で、実用に供し得るモデルに近づきつつあると考えられる。以上の経過に関して、北京市で開催された、開発途上国における地域科学に関する国際学会で発表した。またAGE型モデルの意義に関して、土木計画研究発表会で招待講演を行った。
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[Publications] 安藤朝夫・柴田貴徳: "A Multi-regional Model of Price and Quantity Equilibrium for Developing Economies;An Application to Evaluating the Railroad Improvements in China" Regional Science for Development. (1993)
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[Publications] 安藤朝夫・溝上章志: "土木計画学における均衡概念と応用一般均衡(AGE)分析" 土木計画学研究・論文集. 11. 29-40 (1993)