Research Abstract |
私たちは,すでに,セラミックスを骨材として分級・加振・高充填した後,エポキシ樹脂を結合材として含浸・硬化させて,セラミックスレジンコンクリートと称する新素材を開発した.本研究では,その装置改良をとおして粗骨材を連続相化させることにより,その熱的・機械的特性を,使用したセラミックス骨材程度に向上させ,さらに,本新材料が焼成セラミックスより優れている点を明らかにして,本新材料の多機能・高品位製品用の構造材料としての可能性を評価した.その結果をまとめると以下のとおりである. (1)骨材充填技術,結合材含浸技術,骨材連続化技術を確立し,実用的生産技術を確立した. (2)その熱的・機械的特性を実測した結果,使用した骨材単体の特性と比べて,熱伝導率50%,線膨脹率と比熱1.2倍,密度95%,ヤング率60%,圧縮強度70%,破壊靱性値1.6倍,対数減衰率60倍であった.また,クリープ特性がエポキシレジンコンクリートの1/3に軽減され,結合材完全硬化後の1年間の経年変化も観察されなかったこと,転写性がいいために精度の良い型を使用すると,離型後の機械加工が省略できることなどの特長を持っている. (3)その特性値推算プログラムの開発評価の結果,その計算精度は密度5%,ヤング率15%,熱伝導率20%,比熱6%,線膨脹率6%であり,本材の積極的な利用を可能な状態にした. (4)本材の破壊靱性値の方が,焼成セラミックス単体の値より高く,破壊強度が高かった. (5)本材製の大型構造物を,容易・安価・迅速に製作できることを確認した. (6)本材は,高ヤング率,低密度,高減衰率を特徴とするため,旋盤の刃物台用の構造材料として使用することにより,工具寿命を従来の5倍伸ばすことができた. これらの結果より,本新素材は,焼成セラミックスより優れている点を多数持っており,工作機械などの構造用新素材として利用が可能であり,技術者・設計者に辛辣かつユニークな開発の可能性を提供できると考える.
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