1993 Fiscal Year Annual Research Report
DCアーク、RF、マグネトロンプラズマを利用した機能性材料の製造および表面改質
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05555189
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨井 洋一 京都大学, 工学部, 講師 (90026245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 周一郎 株式会社日本アルミニウム工業, 技術研究所, 副所長
桑原 秀行 財団法人応用科学研究所, イオン研究室, 室長 (90132795)
高田 潤 岡山大学, 工学部, 教授 (60093259)
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Keywords | プラズマ窒化 / DCアークプラズマ / 表面改質 / スパッターリング / X線回折 / EPMA分析 / 活性ラディカルイオン / 色温度 |
Research Abstract |
2年継続である本研究においては、初年度の重点的目的として実験設備の導入・設置・調整を行い、可及的速やかに予備的実験を行い、機械的な設備特性の把握に努めると共にノウハウ的なデーターの蓄積を行う。 主要設備備品であるDCアークプラズマ反応材料製造装置((株)日本アルミ製、DTK-93型)の設置に関しては、従来までの実験データーに基づき、多くの実験部品の新たな設計が行われた。特に、プラズマ反応制御の鍵を握るトーチの設計は大型化のために困難を極めたが、完全に作動するに至った。(平成6年10月)これらの実用的なデーターは、DCアークプラズマの諸特性におよぼすトーチ諸元の効果(加藤周一郎、冨井洋一)として纏められる予定である。 本研究の最も大きな目的であるプラズマ反応を利用した高機能製物質の製造および表面改質に付いては、本格的な設備の総合的稼働に待たねばならないが、比較的小規模な実験設備で可能な表面改質としての鉄合金のプラズマ窒化について研究が行われた。即ち、Fe-18Cr-9Ni合金をプラズマ窒化すると、オーステナイト中の窒素固溶量が従来報告されている値[1]よりも飛躍的に大きくなること[2]、その原因として、N_2イオンによるスパッタリングとNH、NH^+などの応種によることを桑原は報告している[2,3]。これが、オーステナイト系に特有のことであるのか、フェライト系にも同様に生じる現象であるのかを解明する。 Fe-Cr合金をγ'-Fe_4N相を形成しない温度域677℃以上でプラズマ窒化を行い、その組織、析出物相の同定を行うことにした。更に、短時間で試料全体を均質に窒化するために粉末試料を作製してプラズマ窒化して、分析を行うことにした。 溶製したFe-19Cr合金を700℃で49hプラズマ窒化した窒化層は、試料表面から約170μmのところで遷移領域を示し、600℃以下の温度域でのプラズマ窒化層とは異なる組織を示した。この遷移領域は、CrN、Cr_2N、及びマトリックスα-Fe相から構成されていることをX線回折で同定した。また、同程度のCr含有量のFe-17Cr合金粉末のプラズマ窒化層は、均一に窒化され、試料断面全域においてCrNとα-FeであることをX線回折とEPMA分析とから認めることができた。これらについて、現在、化学分析を行っている。 今後、これらの高濃度窒素固溶現象についてプラズマの発光分光分析を行い、より詳細に検討を行うことにしている。 次に、プラズマ反応の基本的な理解を進め、実用製造条件の確立に寄与するために、プラズマ炎中の活性ラディカルイオン種の発光分光分析装置(既設)の本材料製造装置への組み込みがなされた。現在のところ、予備的にではあるがVTRカメラ像とデジタル画像解析技術の連結によって、プラズマ炎の色温度2次元画像表示に成功している。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 松本史朗、加藤周一郎、冨井洋一: "プラズマジェットCVDダイヤモンド膜形成におよぼす非ダイヤモンド質の影響" 粉体および粉末冶金. 40. 80-84 (1993)
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[Publications] 竹下博之、冨井洋一、大石敏雄、小野勝敏: "二次イオン質量分析法によるチタン中の微量酸素の定量" 日本金属学会誌. 57. 1421-1425 (1993)
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[Publications] Y.Kusano,T.Nanba,J.Takada,T.Egi,Y.Ikeda and M.Takano: "Segregation and dissolution reactions of the 2223 phase in the Bi,Pb-Sr-Ca-Cu-O system on annealing in air" PHYSICA C. 219. 366-370 (1994)
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[Publications] Koji AMEZAEWA,Mitsuko OSUGI,Yoichi TOMII and Yasuhiko ITO: "The Effects of Phase Change of Li-Al Alloy Electrode on Thermoelectric Power in LiCl-KCl Eutectic System" DENKI KAGAKU. 61. 736-737 (1993)
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[Publications] 新苗稔展、高田潤、池田靖訓、坂東尚周: "Bi系2201相の機械的粉砕と再生成過程(II)" 粉体および粉末冶金. 40. 1065-1068 (1993)
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[Publications] 井神浩、加藤周一郎: "超音波はんだ付技術を用いたアルミニウムと異種金属の接合" アルトピア. 6. 9-14 (1993)
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[Publications] S.Nishikawa,T.Hama,H.Kuwahara and J.Takada: "PRECIPITATION OF NITRIDE IN IRON ALLOYS PREPARED BY PLASMA NITRIDING" Edited by Y.Bando and K.Kosuge Proceedings of 1993 Powder Metallurgy World Congress,Kyoto,Japan,1993, 670-673(1416) (1993)
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[Publications] Y.Kusano,T.Nanba,J.Takada,Y.Ikeda,Z.Hiroi,M.Takano & H.Mazaki: "CHEMICAL AND MECHANICAL STABILITY OF THE HIGH-Tc PHASE IN THE Bi-Pb-Sr-Ca-Cu-O SYSTEM" Edited by Y.Bando and K.Kosuge Proceedings of 1993 Powder Metallurgy World Congress,Kyoto,Japan,1993, 1298-1301(1416) (1993)