1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05555208
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO,SCHOOL OF ENGINEERING |
Principal Investigator |
幸田 清一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10011107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 文雄 ジャパンエナジー(株), 新材料研究所, 研究員
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Keywords | レーザー誘起反応 / 連鎖反応制御 / シクロヘキサン / シクロヘキサノール / 部分酸化反応 / エキシマーレーザー / 光反応工学 |
Research Abstract |
レーザー光の特徴を工業合成の分野においても活用することにより、通常光源では難しい特定化合物を高収率、高選択的に得ることが可能と考えられる。また、反応器やそのシステムの設計においても大きな利点が期待される。しかし同時にレーザー光の実用化においては、コストの高いレーザー光子を如何に有効に利用するかが非常に重要である。そこで本研究においてはレーザー誘起の連鎖反応を検討対象とした。今年度は、シクロヘキサンの酸化反応によるシクロヘキサノールやシクロヘキサノンの生成につき、機構の検討を達成することと、最終年度として、これまで検討した反応系を集大成することを目的とした。 常温常圧におけるシクロヘキサン及び酸素はKrFエキシマーレーザーの発振波長に吸収を有しないが、酸素を溶解させた液相のシクロヘキサンではレーザー誘起酸化反応が進行し、酸化剤として添加した酸素分子が光吸収過程にも深く関与していることが明らかになった。いずれの反応条件においても主生成物はシクロヘキサノールとシクロヘキサノンであった。選択性には大きな条件依存性はみられなかったが、量子収率を求めたところ、いずれの条件でも1を下回った。この反応系では、溶媒分子で取り囲まれたケージの中で起こるラジカル-ラジカル反応が支配的であるとの結論を得た。 一方、従来から検討を進めていた1,1-ジクロロエタンの塩素化、脱塩化水素反応をレーザー光誘起によって進め塩化ビリニデンを合成する反応系は、高い量子収率で進行する。この反応系は基本的には実用性を有する。このように、反応系、反応の相の選び方により、量子収率を実用的なレベルまで高めることが可能な場合があり、個々の反応系について検討することにより、さらに多数の実用可能性のある系を見いだせるものと結論した。
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Research Products
(2 results)