1994 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリンキレートを中心とするNMRイメージング診断薬の開発
Project/Area Number |
05555225
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
五十嵐 淑郎 茨城大学, 工学部, 助教授 (70150258)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 惇二 栄研化学株式会社, 研究開発本部, 部長
金 尚元 大阪府立病院, 画像診断科, 医師
|
Keywords | ポルフィリンキレート / NMRイメージング / 画像診断薬 / 動脈硬化症 / 病変部モデル担体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、腫瘍MRI(NMRイメージング法)マーカーとして、組織選択性と良質なコントラスト画像を提供する金属キレート(特に、ポルフィリンキレート)に着目し、動脈硬化症に対するMRI診断薬の開発を行なうことにある。前年度は、8種類のポルフィリン・スルホン酸誘導体および3種類のリン酸エステル誘導体を合成し、動脈硬化症早期病変部モデルとしてのデオキシコール酸への吸着特性および動脈硬化症による「石灰化」のモデル担体としての炭酸カルシウムへの吸着特性について検討を行なった。 本年度は、生体への影響や病変部組織への浸透性などを考慮し、5種類のアミノ酸誘導体(グリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびリシン)をペプチド結合で結合した水溶性ポルフィリンを合成した。これらのポルフィリンでは、分子内のペプチド結合が加水分解を受け易く水溶液中では比較的不安定であるなど、新しい知見が見いだされた。この課題の解決法として、ポルフィリンとアミノ酸基の間にアルキル基等のスペーサーを有する分子設計が必要であることが分った。また、先に合成した4個リン酸エステル基を有する5,10,15,20-テトラキス[4-(ホスホノオキシ)フェニル]ポルフィンは、肝臓疾患中に現れるα-フェトプロテインおよび抗原抗体反応のラベル酵素として重要なアルカリホスファターゼの新規高感度分析試薬となることを明らかにした。現在、3種類のリン酸エステル基含有マンガン-ポルフィリンキレートの動脈硬化症ウサギへの投与とMRI画像測定を目的として、各々数十グラムレベルの合成を完了しており、本年中には、この実験結果が得られるものと期待される。 本年度は、本研究課題の最終年度であるが、2ヶ年で得られた成果は、動脈硬化症病変部選択性を考える分子設計の観点からは初めての成果であり、今後造影剤開発における重要な指針を与えるものである。
|
-
[Publications] Takanori KAWAKAMI: "New Highly-sensitive Chromogenic Alkaline Phosphatase Reagent:5,10,15,20-tetrakis(4-phosphonooxyphenyl)prophine" Analytical Letters. 27. 2083-2089 (1994)
-
[Publications] Takanori KAWAKAMI: "Spectrophotometric Determination of Alkaline Phosphartase and α-Fetoprotein in Human Serum with 5,10,15,20-tetrakis(4-phosphonooxyphenyl)porphine" The Analyst. 120(印刷中). (1995)