1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05555234
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲垣 道夫 北海道大学, 工学部, 教授 (20023054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥谷 猛 北海道工業技術研究所, 研究室長
清水 晃 北海道大学, 工学部, 助手 (90002013)
嶋田 志郎 北海道大学, 工学部, 助教授 (90002310)
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Keywords | 錯体 / セラミックス / 低温合成 / フェライト / スピネル |
Research Abstract |
本研究では,比較的不安定な金属錯体を中間体として経由させることによって低温で,望むらくは室温で,複酸化物セラミックスを合成するプロセスを確立することを目的とした。具体的には,錯体を形成する配位子としてエチレングリコールおよびヒドラジンを選び,いくつかの複酸化物の合成条件を確立すると共に,その長所・短所を明らかにする。本研究では,複酸化物をそれぞれの金属の水酸化物を経由して合成するのではなく,直接合成しようとするところに特色を持っている。 エチレングリコールを配位子として用いることによってスピネル構造を持つZnFe_2O_4をバルーン状で合成することができた。加えて,Fe_2O_3のバルーンも合成でき,それとZnOとの反応によってZnFe_2O_4の篭状粒子とすることができた。この結果は,反応経路の選択によって複酸化物のモルフォロジーを制御し得ることを示している。また,同様のプロセスによってスピネル型LiMn_2O_4を薄膜状で合成することができた。そのリチウム二次電池正極としての充・放電挙動はほぼ既報のものと一致した。 ヒドラジンを還元剤として用いることによってZnFe_2O_4フェライト微粒子を室温付近で合成することに成功し,その条件(濃度,温度,熟成時間)を決定した。ヒドラジンは配位子としてのみでなく,還元剤あるいは塩基として作用するために,フェライト合成の条件,特に溶液濃度が限られることが明らかとなった。これに対して,アンモニアを還元剤として用いた場合には30〜60℃の温度範囲で結晶性の高いZnFe2O4微粒子を合成することが出来た。これらフェライト微粒子はグリーンラストと呼ばれる中間相を経由して生成することを明らかにした。
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[Publications] T.Tsumura: "Synthesis of LiMn_2O_4 Spinel via Tartrates" J.Mater.Chem.3. 995-996 (1993)
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[Publications] M.Ueda: "Synthesis of Crystalline Zinc Ferrite near Room Temperature" J.Mater.Chem.3. 1199-1201 (1993)