1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05555248
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Research Institution | Science University of Tokyo |
Principal Investigator |
平井 英史 東京理科大学, 工学部, 教授 (90010751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 宏輝 (株)コスモ総合研究所, 化学技術研究所, 所長
分島 郁子 東京理科大学, 工学部, 講師 (00084385)
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Keywords | 2-ナフタレンカルボン酸 / ナフタレンジカルボン酸 / カルボキシル化 / 四塩化炭素 / シクロデキストリン / 2,6-ナフタレンジカルボン酸 / 包接錯体 / 核磁気共鳴スペクトル |
Research Abstract |
1. 2,6-ナフタレンジカルボン酸(2,6-NDA)は、高性能高分子および液晶の原料として社会的要求度が高いが、その選択的合成は困難とされている。本研究者らは、すでに2-ナフタレンカルボン酸と四塩化炭素を、アルカリ水溶液中で、銅粉およびシクロデキストリン(CyD)を添加して反応させることにより、2,6-DNAが得られることを見いだしている。本年度は、本反応における四塩化炭素の添加効果および添加方法について検討し、2,6-NDAの反応収率および選択率が最適となる反応条件を探索した。 2. 四塩化炭素の添加量の増加にともない、2,6-NDAの収率は向上し、2-ナフタレンカルボン酸に対してモル比5.0の四塩化炭素を添加し、60℃で7時間反応を行ったとき、2,6-NDAの収率は最大58mol%、選択率83%を示した。副生成物は、2,7-NDA(10mol%)および1,6-NDA(2.5mol%)であった。 3. 四塩化炭素を効率よく反応系に供給するために、所定量の四塩化炭素を逐次添加する方法を行った。四塩化炭素0.6mmolを15分間隔で反応系に添加した結果、反応開始時に全量の四塩化炭素を添加する方法と比較して、2,6-NDAの収率は増加した。60℃で8時間反応した際に、2,6-NDA、2,7-NDAおよび1,6-NDAがそれぞれ67mol%、10mol%および2.4mol%生成し、この時は選択率84%であった。 4. 本反応の反応機構を解明するため、水酸化ナトリウム水溶液中で、β-CyDと2-ナフタレンカルボン酸から形成される包接錯体について、β-CyDの^1H核と2-ナフタレンカルボン酸の^1H核との核オーバーハウザ-効果の測定を行なった。その結果、β-CyD-2-ナフタレンカルボン酸アニオン包接錯体のコンフォメーションは、カルボキシル化反応の位置選択性と良く対応することが明らかとなった。
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