1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05555264
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
池畑 光尚 横浜国立大学, 工学部, 教授 (10114969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 寿 横浜国立大学, 工学部, 助手 (00240763)
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Keywords | 和船の櫓 / 船舶推進器 / 横行式翼列 / 推力 / 推進効率 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の初年度であるので、研究計画の基本構想を練るのに十分時間をかけた。本研究は、和船の櫓漕の原理を応用した新しい船舶推進器の開発がメインテーマであるから、その推進器の基本計画,理論的検討,設計,横型船用装置の製作を本年度の研究の内容とした。そのため、まず最初に、鉛直翼列の左右横行方式を取り入れることにし、その流体力学的作用について理論的考察を行った。その結果、鉛直翼を水平横方向に10本程前後2列に並べてそれらを回転するチェーン又はベルトで連結すれば、前列では左方に横移動した翼列は後列に回ったら右方に横移動する機構になる。このとき端点にて迎角の切換を行なえるようなメカニズムを取りつけて、前列と後列とで迎角がつねに一定に保持できるようにすれば、推力を得ることができることが明らかになった。このとき、横方向の力は前列と後列とで逆向きになるので、打消し合えるが、前列と後列との間隔に比例した鉛直軸まわりの偶力が発生するため船体を旋回させるモーメントが作用することが分った。この旋回モーメントに対する対策はこれからの課題とすることにして、装置の設計を行って製作にとりかかった。この方式は、複数の櫓を一台の装置にまとめたものと考えることができ、前進速度に応じた最適の横行速度と迎角の組合せが存在し、かなりの高い効率が期待できることが判明した。又、チェーンを逆転させるか、或いは迎角を負に設定できれば、後進方向の推力も得られることを確かめた。これらの検討の成果を踏まえて設計製作した装置は、複雑なメカニズムを有するため設計製作に時間がかかってしまい、本年度はやっとその形を見るだけに終った。試運転を行い、改良した上、本実験を行うのは、次年度からスタートすることになる。本装置を横行式翼列推進器と名づけた。
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