1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05556005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩堀 修一 筑波大学, 農林学系, 教授 (00012055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊本 修 鹿児島県農業試験場, 大島支場, 研究員
富永 茂人 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90164029)
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Keywords | ビワ / 果皮の引っぱり強度 / 果実生長 / 土壌水分 / 屋根掛け栽培 / 人工受粉 |
Research Abstract |
ビワのひび割れ果は果皮のみに現れ、縦方向にのみ亀裂が入る。肉眼による観察では収穫10〜14日前から認められ、熟度の進行とともにその程度が大きくなって商品価値は低下する。電子顕微鏡による観察ではそれ以前に多くの小さな亀裂が果皮に認められた。 果皮のひっぱり強度を調べると、ひび果発生のほとんどない垂水のビワに比べて、ひび果発生の多い奄美のビワは横方向、縦方向ともにひっぱり強度がかなり小さかった。また、ひび割れ果では正常果に比べて縦方向のひっぱり強度に対して横方向のひっぱり強度が小さくなった。 奄美のビワは収穫期に縦径の肥大が停止した後も横径の肥大が続き、このため縦方向のひびが入るものと考えられた。この時横径の肥大が不均一であると、果皮が部分的に引っ張られるので亀裂が入りやすくなると考えられ、事実、種子の配列が不均一で形が不整形の果実でひび果の割合が多かった。人工受粉を行うと放任受粉に比べて平均種子数が1個増加し、果実の肥大がよくなり、さらに果形が整形となったが、ひび果の発生も30%減少した。 果実成育期の土壌水分を調節する目的で屋根掛け栽培を行うと、露地栽培に比べてひび果発生は20%減少し、さらに腐敗果も減少したため、商品化率は大幅に向上した。以上の結果から、果実成熟期に土壌水分が多いと、樹体の吸水が盛んとなり一時的な果実への水分流入の結果、果実生長率の変化が激しくなること、一方でもともと奄美のビワは果皮のひっぱり強度が弱く、このため特に種子が不均一に分布し果形が不整形になった場合には、横方向へのひっぱり力の増加に対して果皮が抵抗できずに亀裂を生ずること、が明らかとなった。
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