1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05556013
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
祥雲 弘文 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (70012036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 和彦 筑波大学, 応用生物化学系, 助手 (90241778)
杉山 純多 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (80142256)
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Keywords | 共脱窒 / 脱窒 / 糸状菌 / 廃水処理 |
Research Abstract |
脱窒活性を有する糸状菌の中から共脱窒活性の強いFusarium solani IFO 9425株を選択し、共脱窒反応について条件検討を行った。各種アミノ酸、アニリン、スルファミン酸、アザイド、サリチルヒドロキサム酸など多くの窒素化合物が共脱窒基質となることが判明した。共脱窒産物は窒素ガス(N_2)または亜酸化窒素(N_2O)であったが、どちらの産物が生じるかは共脱窒基質窒素の還元状態に因る。これら基質のうち、アニリンを用いた場合最も成績が良かった。すなわち等量の亜硝酸塩とアニリンから100%の収率でN_2が生じた。この間菌体量は減少し、また培地のpH低下が見られた。この現象の廃水処理への応用を現在検討中である。またこの共脱窒現象が、pH低下の結果引き起こされた化学反応(ニトロシル化)によっている可能性もあり、現在検討している。 さらに脱窒糸状菌のスクリーニングを行い、接合菌であるRhizopus oryzaeが亜硝酸塩から一酸化窒素(NO)を生じることを見いだした。本菌は脱窒産物としてN_2Oを生じない。従って亜硝酸塩還元酵素のみをもつことが予想される。また共脱窒活性も示した。Rhizopus属は麹などにも用いられる安全性の高いカビであるので、環境問題への応用に適している。また一酸化窒素還元酵素(P-450nor)をもたない様なので、Fusarium属脱窒菌のP-450欠損株と同等であり、共脱窒反応の応用が期待できる。 カビと同様に放線菌の脱窒菌もこれまで知られていなかった。そこで放線菌のスクリーニングも行っているが、すでにいくつかの株に活性を見いだしている。今後放線菌による脱窒の諸性質を調べ、また廃水処理への応用についても詳しく検討したい。
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