1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05556013
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
祥雲 弘文 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (70012036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 純多 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (80142256)
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Keywords | 脱窒 / 廃水処理 / 糸状菌 / シトクロムP450nor |
Research Abstract |
カビ脱窒の発見以来、カビ脱窒系が細菌の系と同様に嫌気呼吸系として働くのであろうか、またそうであるとして、その細胞内での局在は好気的呼吸同様ミトコンドリアであるのかという、大変興味ある課題が存在した。本年度はこの課題を解明し、カビ脱窒系が予想通りミトコンドリアに局在し、嫌気呼吸として働くこと、すなわち硝酸(または亜硝酸)の還元に共役してATPを合成していることを証明できた。エネルギー効率(P : N比、あるいはP : 2e比)は0.8〜1.4であった。これらの成果は生化学あるいは微生物学に於ける重要発見となるべきもので、ミトコンドリアあるいは真核生物の進化を考える上で重要な知見をもたらした。 さらにFusarium oxysporumおよびCylindrocarpon tonkinenseのP450norのcDNAと熟成タンパクを解析し、P450norがミトコンドリアへの移送シグナルとしてのプロ配列を持つことを明らかにした。 以上の結果は、カビを廃水処理へ利用する際にも重要な知見をもたらした。すなわちカビ脱窒系に欠落している亜酸化窒素還元酵素遺伝子を細菌から得て、カビに導入、発現させる際、細菌遺伝子上流に移送プロ配列を結合することにより、細菌酵素をミトコンドリアで発現させることが理論的に可能となった。 脱窒真菌の形質転換系については検討を続けているが、既存のベクター(ヒグロマイシン耐性)を用いた系は間もなく完成すると思われる。さらにP450nor遺伝子には強力なプロモーターの存在が予想されるが、それを用いた独自の発現系の構築の検討も行っている。
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