1993 Fiscal Year Annual Research Report
脳における神経成長因子の生成を促進する食品成分のスクリーニング法の開発
Project/Area Number |
05556020
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中野 紀和男 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 助教授 (10023433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 昭栄 岐阜薬科大学, 助教授 (90159129)
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Keywords | 神経成長因子 / アルツハイマー症 / アストログリア細胞 |
Research Abstract |
序:アルツハイマー症はわが国における老人性痴呆症の3分の1を占める。しかしその有効な治療法はまだほとんどない。近年神経成長因子(NGF)が前脳基底核コリン作動性神経の成長因子であることがわかってくると、まさにこの部分に顕著な神経細胞の脱落、変性が見られるアルツハイマー症の原因として、NGF生成の低下が原因である可能性が出てきた。われわれは脳アストログリア細胞の培養系を用いてNGF生成を促進する食品成分の検索を行っているので、これまで得られた結果を報告する。 方法:アストログリア細胞はC3H/HeNマウス新生児の脳より分離し、培養した。試験物質の添加により生成され、培養上清中に出てくるNGFは酵素免疫(ELISA)法によって測定した。 結果と考察:まず植物性食品に含まれる、カフェイン、コーヒー酸、クロロゲン酸などの作用性を調べた。その結果これらいずれも脳でのNGF生成を変化させる作用は見られなかった。次に各種アミノ酸、およびその関連化合物について検討した。まずトリプトファンに明かなNGF合成促進作用があることがわかった。ついでその関連物質について検討したところ、キヌレニンにはトリプトファンよりはるかに強い作用が見られた。またキノリン酸およびセロトニンにも有為なNGF生成促進作用があった。一方キヌレン酸にはそのような作用は見られなかった。トリプトファンやキヌレニンは食事として与えられても脳へ入ることがわかっている。そこで現在これらの食品成分の摂取によって、実際に脳でのNGF生成が促進されるかどうかを検討している。
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