1993 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースおよびリグノセルロースからの新規な生分解性高分子材料の開発に関する研究
Project/Area Number |
05556030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白石 信夫 京都大学, 農学部, 教授 (70026508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島本 周 ダイセル化学工業(株), 研究本部総合研究所, 研究員
吉岡 まり子 京都大学, 農学部, 助手 (30220594)
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Keywords | セルロース誘導体 / 生分解性高分子材料 / 脂肪族ポリエステル / 天然高分子 / 二塩基酸無水物 / プラスチックス / 内部可塑化 / 外部可塑化 |
Research Abstract |
現在、有機高分子材料の一つとして、その開発が望まれているものの、未解決の状態にあるものの一つとして生分解性高分子材料がある。本研究では、地球上で最も大量に生合成されるセルロースからの開発を意図している。特に、工業製品としてセルロース誘導体が何種類か製造されているが、その利用による生分解性高分子が開発されれば実際性が高くなる。他方、ここ数年の世界の生分解性高分子開発研究の中で、脂肪族ポリエステル類と天然高分子の活用に的が絞られて来つつある。本研究では、それら二つを合体させた形での開発、すなわち、天然物利用の工業製品であるセルロースアセテートなどに二塩基酸無水物(無水マレイン酸、無水コハク酸など)とモノエポキシド化合物(フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルなど)あるいは多価アルコール(グリセリン、エチレングリコールなど)とを、ミックスラボを用いて混練反応し、セルロース誘導体と脂肪族ポリエステルとの複合化を行っている。その際、オリゴエステルをセルロース誘導体中へ側鎖として導入し内部可塑化を図ると共に、ホモオリゴマーとして同時に反応系中に生じたオリゴエステルを外部可塑剤としてそのまま用いている。それらの結果、ポリプロピレンなど合成プラスチックと同等の加工性を持つと共に生分解性とコストパフォーマンスの良い材料が得られた。これにより合目的な材料が得られることはあらかじめ確かめられてはいたが、本年度はこの種の可塑化を体系立てて検討し、プラスチックとしての性能や物性に優れた材料を実現することが出来た。リグノセルロースのアセチル化物などでも同様な材料が得られつつある。さらに、得られた代表的な試片について、恒温恒湿槽を用いて、30℃,90%RHの条件下で、土壌中で数ケ月保持することにより生分解性が進むことを走査電子顕微鏡観察や試片の重量の減少率測定などにより明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 白石信夫: "木材などバイオマスのプラスチック化と関連の生成材料の分解性" 高分子学会予稿集. 42(9). 3784-3786 (1993)
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[Publications] 白石信夫: "木材及びバイオマスからの環境適応型プラスチック材料の開発" 化学工学展望シリーズ(化学工学会関西支部編). 9. 57-68 (1993)
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[Publications] N.Shiraishi: "Plasticization of wood and its application.In“Recent Research on Wood and Wood-based Materials"(N.Shirasihi.et al.ed)" Elsevier Applied Science 247中の12ページ, (1993)