1995 Fiscal Year Annual Research Report
アクチン・ミオシン間の滑りの素過程のエネルギー変換効率測定装置の開発
Project/Area Number |
05557004
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Research Institution | School of Medicine, Teikyo University |
Principal Investigator |
杉 晴夫 帝京大学, 医学部, 教授 (20082076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 孝和 帝京大学, 医学部, 講師 (00112756)
茶圓 茂 帝京大学, 医学部, 講師 (60142452)
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Keywords | アクトミオシン / 筋収縮 / エネルギー変換効率 |
Research Abstract |
本研究により平成7年度に得られた結果は以下のように要約される。 1.筋線維のエネルギー変換効率の測定:単一グリセリン筋線維中にあらかじめ筋線維中のミオシン頭部と同数のATP分子を浸透させておき、caged Caのレーザー光分解により放出されるCaにより筋線維を活性化し、種々の荷重下でなす仕事を測定した。また収縮中任意の時点で筋線維を開放して張力をゼロレベルに急激に低下させ、これに続く等尺性収縮張力の上昇値から筋線維のATP消費量を測定した。データの解析の結果、収縮開始後ある一定の時点で筋線維の消費するATP量は等尺性収縮時に最小で無荷重短縮時に最大であった。一方、筋線維のなす仕事は等尺性収縮時および無荷重短縮時には当然ゼロであり、中程度の荷重で最大を示す“つりがね"状であった。以上の結果は個々のミオシン頭部の化学・機械エネルギー変換効率が荷重に依存して著しく変化することを示している。 筋線維と同様な特性を持つ新しいin vitro assay系の開発:従来のin vitoro assay系の欠点は、条件が筋線維とかけ離れており、得られた結果を筋線維の収縮特性と対応させることが困難なことであった。われわれは軟体動物平滑筋から分離したミオシンフィラメントにポリスチレンビーズを付着させ、遠心顕微鏡のローター上にマウントしたアクチンケーブル上を滑走させるin vitro assay系を開発した。このassay系の荷重・速度関係は、滑りに関与するミオシン分子数が約10個であるにもかかわらず、単一筋線維の荷重・速度関係に酷似しており、今後の筋収縮機構の解明にきわめて有用と考えられる。
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[Publications] Chaen, S,Inoue, J. & SGugi. H.: "The force-velocity relationship of the・ATP-dependent actin-myosin sliding causing cytoplasmic streaming in algal cells, studied using a centrifuge microscope" Journal of Experimental Biology. 198. 1021-1027 (1995)
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[Publications] Sugiura, S. et al.: "Force-velocity relations of rat cardiac myosin isozymes sliding on algal cell actin cables in vitro" Biochimica et Biophysica Acta. 1231. 69-75 (1995)