1994 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルス感染を決定するプロテアーゼの発見と阻害剤による新治療薬開発
Project/Area Number |
05557014
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木戸 博 徳島大学, 酵素科学研究センター, 教授 (50144978)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 健二 東京田辺製薬(株), 主任研究員
鴨下 恵一 日本化薬(株), 総合研究所, 研究員
助永 義和 日本化薬(株), 総合研究所, 主任研究員
唐渡 孝枝 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助教授 (60108876)
|
Keywords | インフルエンザウイルス / 感染阻止 / トリプターゼクララ / 肺サーファクタント |
Research Abstract |
インフルエンザの感染予防は、従来ワクチンが主体であった。しかしウイルスが極めて変異性に富むことから、その予防効果に限界がある。我々はインフルエンザウイルスが人の気道に感染するさいに、宿主側のプロテアーゼでウイルスの外膜蛋白が限定分解されることがウイルスの細胞内への侵入を決定する中心的な役割を果すことに注目してきた。我々は最近このプロテアーゼ(トリプターゼクララ)の同定に成功した。本研究はこのトリプターゼクララの内在性インヒビターを見出し、インフルエンザ感染の予防および治療薬を開発することを目的としている。これまでにヒトの気道分泌液中にトリプターゼクララの活性を阻害する2種類の成分を見出した。その1つは肺サーファクタントで、肺サーファクタントは気道中に分泌されたトリプターゼクララを吸着することによって活性を阻害することが判明した。肺サーファクタントは種々のリン脂質と4種の蛋白質からなる複合体で、それぞれの成分単独ではトリプターゼクララの活性を阻害できなかった。インフルエンザウイルス感染は類似したモデル動物実験として、ラットを用いたセンダイウイルスの感染系では、気道に投与した肺サーファクタントは濃度に依存して著しい感染抑制効果を示した。一方気道分泌液中には、肺サーファタントとは異なる蛋白性のトリプターゼクララ阻害物質があることが判明した。この蛋白質は微量でトリプターゼクララの活性を阻害し、インフルエンザウイルスやセンダイウイルスの細胞への感染を抑制した。MDCK細胞やLLCMK2細胞を用いた培養システムでは10nM〜1μMの範囲内で十分の感染抑制効果が認められた。今後後者の物質の構造決定を行う。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] K.Sakai: "Electron immunohistochemical localization in rat bronchiolar epithelial cells of tryptase Clara which determines the pneumo-tropism and pathogonicity of Sendai virus and influenza virus" J.Histochem.Cytochem.41. 89-93 (1993)
-
[Publications] H.Kido: "Pulmonary surfactant is a potential endogenous inhibitor of proteolytic activation of Sendai virus and influenza A virus" FEBS Lett.322. 115-119 (1993)
-
[Publications] M.Tashiro: "Antibody against the carboxyl terminus of the F2 subunit of Sendai virus fusion glycoprotein inhibits proteolytic activatior" Virology. 194. 882-885 (1993)
-
[Publications] Y.Sukenaga: "Purification and molecular cloning of chymase from human tonsils" FEBS Lett.323. 119-122 (1993)
-
[Publications] K.Sakai: "Sendai visus infection changes the subcellular localization of tryptase Clara,an activating protease for pneumotropic viruses,in rat bronchiolar epithelial cells" Eur.Respir.J.7. 686-692 (1994)
-
[Publications] S.Iwata: "Assignment of disulfide bridges in the fusion glycoprotein of Sendai virus" J.Virology. 68. 3200-3206 (1994)
-
[Publications] H.Kido: "Proteolysis and Protein Turnover" Portland Press,London, 9 (1993)
-
[Publications] H.Kido: "Intracellular Protein Catabolism" Plenum Publising Corporation,New York(in press), (1995)