1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05557018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 莊明 東京大学, 医科学研究所, 教授 (00009622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 正策 東京大学, 医科学研究所, 講師 (00164864)
松本 直樹 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40239108)
北 潔 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (90134444)
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Keywords | 日本住血吸虫症 / モノクローナルIgE / パラミオシン / ワクチン / リスザル |
Research Abstract |
我々は、これまでにマウスに受動免疫を賦与できる抗日本住血吸虫モノクローナルIgE抗体(SJ18ε.1)の作製に成功し、これを用いてIgE抗体依存性の防御免疫機構を解析するとともに、この抗体の認識する抗原分子(97kDa)が、マンソン住血吸虫についてもワクチン候補分子として注目されているパラミオシンであることを示唆する結果を得た。そこで、本研究では、まずこれまでに進めて来た日本住血吸虫パラミオシン遺伝子のクローニングを完全なものとすることを試みた。日本住血吸虫成虫のmRNAよりcDNAを合成し、λgtllをベクターとしてcDNAライブラリーを作成した。そして、SJ18ε.1を用いてこのcDNAライブラリーをスクリーニングし、97kDa分子の全長をコードすると思われるcDNAクローンを得て、その全塩基配列を決定した。またそれから想定されるアミノ酸配列をマンソン住血吸虫パラミオシンのそれと比較したところ、96%の相同性を示すことが判明した。さらに、組換え体パラミオシンを得るため、パラミオシンcDNAを発現ベクターに組換え、日本住血吸虫グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白を大腸菌内で発現させた。さらに、SJ18ε.1の認識するエピトープを明らかにするため、部分的に欠損した組換え体パラミオシンをGSTもしくはβ-ガラクトシダーゼ(β-gal)との融合蛋白として発現させた。その結果、SJ18ε.1は300アミノ酸から成るN-末端部分とは反応せず、1329bpのcDNAによってコードされる443アミノ酸からなる、全長のほぼ中央1/3に相当する部分と反応することが判明した。現在、さらにこの部分について一部を欠損する組換え蛋白を作成し、エピトープを決定することを試みており、また、SJ18ε.1が認識する融合蛋白でリスザルの免疫も試みている。
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[Publications] Watanabe,N.: "Acquired resistance to Schistosoma japonicum in IgE-deficient SJA/9 mice immunized with irradiated cercariae." Int.Arch.Allergy Immunol.102. 191-194 (1993)
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[Publications] 小島荘明: "住血吸虫症ワクチンの開発をめぐって" Today's Therapy. 17. 93-95 (1993)
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[Publications] 奈良武司: "マウスモノクローナルIgE抗体の認識する日本住血吸虫抗原分子のcDNAクローニング" 寄生虫学雑誌. 42(増). 99 (1993)
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[Publications] 佐藤正夫: "リスザルにおける日本住血吸虫に対する防御免疫の誘導について" 寄生虫学雑誌. 42(増). 126 (1993)
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[Publications] 奈良武司: "住血吸虫症ワクチンの開発:日本住血吸虫パラミオシンcDNAの全塩基配列決定及び発現" 寄生虫学雑誌. 43(増)(印刷中). (1994)