1994 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロペプチドY、ガラニン及びパンクレアスタチンの受容体アンタゴニストの開発
Project/Area Number |
05557047
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
立元 一彦 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (60240694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 至 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (60143492)
伊藤 漸 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (00008294)
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Keywords | ペプチド / ホルモン / 神経ペプチド / アンタゴニスト / アゴニスト / ニューロペプチドY / パンクレアスタチン |
Research Abstract |
ニューロペプチドYおよびパンクレアスタチンのアンタゴニスト合成のために、これらのペプチドのC末端構造に焦点を合わせ、一連のアナログおよびアナログ混合物を合成し、スクリーニングを行なった。その結果、僅か4個のアミノ酸残基からなるペプチドがニューロペプチドY受容体に対する拮抗活性を有することが明らかになったので、このペプチドをリ-ド化合物として、非ペプチド性の受容体拮抗剤の合成へ向けて構造上の工夫を行なうことが可能になった。 PSTは、膵ラ氏島B細胞内で産生され、インスリンと共に放出されてオートクリン機構を介してインスリン分泌を抑制するものと考えられる。しかし、PSTの受容体に関しては不明な点が多い。そこで我々は、パンクレアスタチンのアンタゴニスト開発のための基礎研究として、ラット膵ラ氏島B細胞の初代培養系を用い、細胞内遊離カルシウム濃度の動態を指標にして、グルコース以外のインスリン分泌促進剤に対するPSTの作用をソマトスタチンの作用と比較検討してみた。その結果、アセチルコリン、GIPおよびグリベンクラミド刺激による膵ラ氏島B細胞の細胞内カルシウム濃度の上昇については、ソマトスタチンでは強い抑制作用を観察したが、PSTに関してはすべて無効であった。このことから、両者が極めて異なった作用機構を介してインスリン分泌を抑制することが示唆された。PSTの抑制作用はグルコース刺激に対して特異的で、ソマトスタチンのようにK^+チャンネルを介してインスリン分泌を抑制する可能性はなく、また、膜電位依存性Ca^+チャンネルに直接作用する可能性も少ない。そこで、PSTが膵ラ氏島B細胞によるグルコースの取り込みから代謝に至る経路のどこかに作用してインスリン分泌を抑制する可能性が考えられた。この結果は、パンクレアスタチンのアンタゴニスト開発がインスリン分泌機構の解明や糖尿病の病態生理の解明のために重要であり、従来とは異なるタイプの糖尿病薬剤に発展する可能性があることを示唆している。
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[Publications] Kubohara,Y.: "Differentiation-inducing factor of D.discoidem raises intravellular calcium concentration and suppresses cell growth in rat pancreatic AR42J cells." FEBS Letters. 359. 119-122 (1995)
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[Publications] Ishikawa,K.: "Meninges play a neurotrophic role in the regeneration of vasopressin nerves after hypophyaectomy." Brain Resesrch,in press.
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[Publications] 立元一彦: "消化管ホルモンの化学と臨床応用" G.I.Research. 2. 38-45 (1994)
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[Publications] 立元一彦: "消化管ホルモン研究の親展開一化学構造と分類" 胆と膵. 15. 815-821 (1994)