1994 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスとジーンターゲティングを用いた糖尿病モデル動物の作製
Project/Area Number |
05557050
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門脇 孝 東京大学, 医学部(病), 助手 (30185889)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 龍彦 東京大学, 医学部(病), 助手 (90170266)
寺内 康夫 東京大学, 医学部(病), 医員
為本 浩至 東京大学, 医学部(病), 医員
戸辺 一之 東京大学, 医学部(病), 助手 (30251242)
佐倉 宏 東京大学, 医学部(病), 助手 (70240710)
|
Keywords | シーンターゲティング / インスリン抵抗性 / IRS-1 / インスリン分泌不全 / グルコキナーゼ / NIDDM |
Research Abstract |
我が国の糖尿病の90%以上を占めるインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)では、よい疾患モデル動物がない。そこで、我々は、NIDDMの特徴であるインスリン分泌不全やインスリン作用不全の疾患モデルマウスをジーンターゲティング法を用いて作成した。 (1)インスリン抵抗性モデルとしてのIRS-1欠損マウス IRS-1はインスリンによりチロシンリン酸化を受ける分子量160-185KDaの蛋白でありインスリンの細胞内主要シグナル伝達経路であると考えられている。我々はIRS-1を特異的に欠損するマウスの作成に世界で初めて成功した。このIRS-1欠損マウスは糖尿病になるには至らなかったが、インスリン抵抗性を認めた。IRS-1欠損マウスの脂肪細胞や骨格筋でグルコース輸送やグリコーゲン合成の低下を認めた(Nature372,182-186,1994)。IRS-1ノックアウトマウスは遺伝子異常の部位の明らかな初めてのインスリン抵抗性モデル動物である。 (2)インスリン分泌不全モデルとしてのグルコキナーゼ欠損マウス ヒトの糖尿病に認められるグルコキナーゼ(GK)変異は膵β細胞と肝臓に共通な領域に限られており、インスリン分泌のグルコースに対する感受性の低下と肝での糖取り込みの低下が同時に認められ(Lancet341,893-894,1993)、病態の解釈を複雑にしている。そこで我々はインスリン分泌異常の役割を明らかにするため膵β細胞型グルコキナーゼ欠損マウスを作成し、その表現型を解析した。ヘテロ欠損マウスは軽度の耐糖能異常とインスリン分泌低下を示した。ホモ欠損マウスでは、生後間もなく糖尿病を呈し、未治療では数日で死亡する。これらのマウスはNIDDMのインスリン分泌不全に類似したモデル動物となりうる。
|