1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05557076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩中 督 東京大学, 医学部(病), 助手 (90193755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 光春 ルセル森下製薬株式会社, 研究員
内田 広夫 東京大学, 医学部(病), 医員
田中 潔 自治医科大学, 医学部, 講師 (60155124)
河原崎 秀雄 東京大学, 医学部(病), 講師 (60115475)
土田 嘉昭 東京大学, 医学部(病), 教授 (80010164)
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Keywords | 臓器保存液 / ラット / 肝移植 / hydroxyethyl starch |
Research Abstract |
以前教室で試作したTOM-2H液の浸透圧ならびに粘稠度が高いという短所を補うため、hydroxyethyl starch,mannitolを減量せしめたmodified TOM液を試作し、対照群のUW液、TOM-2H液と比較検討する目的で、長時間の単純冷却浸漬保存後のラット肝移植を行った。本年度に明らかになったことは、(1)浸透圧、粘稠度を減じても、単純冷却浸漬保存後に移植片の重量は増加すること、(2)今回の改良により、その移植後の生存率は飛躍的に上昇したこと、(3)細胞外液型の組成に変更したことにより、移植直前の保存液のwash-outが不要となり、reperfusion injuryの予防にも有用と考えられたこと、などが挙げられる。 24時間の4℃単純冷却浸漬保存後に、移植肝の重量は、7.72±1.09gより7.99±1.15g(P<0.001)に増加したが、光学顕微鏡ならびに電子顕微鏡による組織学的検討では、肝の構築およびsinusoidなどに強い変化は全く観察されなかった。生存率では、modified TOM液を用いた群において3日以上生存率が90%、7日以上生存率は70%と、UW液群(7日以上生存率32%)、TOM-2H群(7日以上生存率29%)に比し有意に良好な結果が得られた。またmodified TOM液群における生存ラットを犠牲死させることにより得た肝組織の検討では、対照群の肝に比し、その構築は良好に維持されていた。術後の肝機能などに関しては、採血量、採血回数に限りがあり、統計学的検討はいまだ行えていない。また、reperfusion injuryの予防の点から、今回の研究ではdonation、reperfusionともに、modified TOM液のみを用いてwash-outせずに移植手術を行ったが、その結果については症例を重ねて来年度の検討課題としたい。
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Research Products
(1 results)