1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05557076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土田 嘉昭 東京大学, 医学部(病), 教授 (80010164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 光春 ルセル森下製薬株式会社, 開発企画部, 次長
田中 潔 自治医科大学, 医学部, 講師 (60155124)
伊東 充宏 自治医科大学, 医学部, 助手
杉山 正彦 東京大学, 医学部(病), 助手
河原崎 秀雄 東京大学, 医学部(病), 講師 (60115475)
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Keywords | 肝移植 / 肝保存液 / 細胞外液型電解質組成 / 肝移植,ラット |
Research Abstract |
(目的)ラット肝30時間保存後移植実験を行うことによりmodifiedTOM(mTOM)液とUW液の肝保存能を比較検討した。 (方法)雄性RNラット230-330gをdonor・recipientとして用い、donor門脈より10mlのmTOMあるいはUWで灌流後摘出した肝を同液に30時間単純冷却浸漬保存後recipientに同所性に移植した。なお、UW使用群は保存終了後lactate ringer液にて門脈よりrinseした。検討項目:(1)保存前後肝湿重量、(2)recipient生存日数・生産率、(3)30時間保存後・再灌流後5時間の肝組織像、(4)移植後1・3・7日目のrecipientの体重推移及び肝機能(GOT,GPT,LDH)。 (結果)(1)保存前に対して保存後肝湿重量はmTOM群:109±1%と有意に増加(p<0.0001)、UW群:94±3%と有意に減少(p<0.0001)。(2)生存日数:mTOM群:2,6,>7,>7,>7,>7,>7,>7,>7,>7、UW群:0,0,1,2,>7,>7,>7,>7,>7,>7。1週間生存率に両者で有意差なし(generalized-Wilcoxon test;p=0.21)。(3)両群とも30時間保存後、肝細胞の壊死はなく、肝細胞索の構築も維持されていた。mTOM保存肝では軽度の肝細胞の腫脹および類洞の拡張が認められた。再灌流後5時間では、両群とも類洞内に赤血球・好中球浸潤および軽度のうっ血が認められた。UW群では肝細胞の壊死巣が散見されたが、mTOM群では肝細胞壊死は観察されなかった。(4)recipientの体重推移、肝機能検査値に両群で有意差はなかった。 (考察)今回のラット肝30時間保存後移植実験では、mTOMはUWと同等あるいはそれ以上の肝保存能を有することがわかった。保存後肝重量の増加は保存肝のviabilityに影響を与えなかった。mTOMは、製造コストが安価・室温で長期安定・細胞外液型電解質組成でrinseが不要となる可能性があるという長所を持ち、有用な液と考えられた。 尚、保存肝・移植肝のviabilityを知る目的で、^<31p>NMRspectroscopyを用いた保存肝のATP・pHの推移および移植後の肝ATP・ADPの推移の測定、レーザードプラー血流計を用いた再灌流後の肝組織血流量測定、再灌流後のICGR_<15>およびK値の測定を試みたが、個体によるばらつきが大きく、結果をだすにはいたらなかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Kawarasaki,T.Iwanaka,Y.Tsuchida, et al: "Partial liver transplantation from a living donor:Experimental research and clinical experience" Journal of Pediatric Surgery. 29. 518-522 (1994)
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[Publications] 土田嘉昭: "胆道閉鎖病" 小児外科. 26. 1486-1487 (1994)
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[Publications] Y.Tsuchida,H.Kawarasaki et al: "Cyseic dilatation of the intrahepatic biliary system in biliary atresea after hepatic potcenterostomy" Journal of Pediatric Surgery. 29. 630-634 (1994)