1993 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類器官形成期胚の胚操作技術の開発-頭部神経堤細胞の機能解析に対する応用-
Project/Area Number |
05557078
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山下 典子 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (00220343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 洋文 (株)富士通研究所, 国際情報社会科学研究所, 主任研究員
二宮 洋一郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (90237777)
江藤 一洋 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (30014161)
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Keywords | 哺乳類胚操作 / 全胚培養 / whole mount in situ hybridization / rSey / Pax-6 / ガス組成 / lac Z / 発現ベクター |
Research Abstract |
平成5年度の研究計画では、1)胚培養中のガス組成や流量を測定し、哺乳類胚操作システムの開発に向けた基礎的知見の集積、2)胚組織における注入細胞を組織学的に検出する方法、とりわけ哺乳類胚におけるwhole mount in situ hybridization技術の検討・確立、を主な目的としていた。これに対し、1)については測定装置のプロトタイプがほぼ完成し、全胚培養中のガス組成の変化を測定する準備ができた。しかし、実際にガス濃度を測定する場合には較正が必要で、このために開発初期段階では既存の高精度のガスアナライザーとの併用が不可欠であると判断した。2)についてはその技術を完全に確立し、いくつかの既知の遺伝子についてその発現パターンを調べた。すなわち、Pax-6やレチノイン酸レセプターの遺伝子の発現を、Digoxigenin標識RNAプローブ、抗Digoxigenin抗体を用いた間接酵素抗体法にて検討した。その結果、正常マウスあるいは正常ラットの胚において、上記遺伝子のmRNAの部位特異的な分布を検出することができた。とくに、眼鼻欠損ミュータントラットrSeyの突然変異遺伝子であるPax-6については、新たな知見として器官形成初期のラット胚の頭部領域にのみ限局して発現が観察された。今後は、これら遺伝子の発現パターンを時系列に沿って立体的に観察する手段を開発し、これらの遺伝子の発現をより詳細かつ系統的に観察する必要がある。 次に、暫定的な結果ではあるが、lac Z遺伝子を発現ベクターに組込んだものをラット胚の羊膜腔内に注入し、24時間の全胚培養後にbeta-galの発現をX-gal染色によって検出することに成功した。これは、胚の任意の局所に特定の遺伝子(この場合はlac Z遺伝子)を発現させることが可能である、ということが確認されたことを意味し、さらに発現効率を高めるべくベクターコンストラクションや導入方法の改良を行うこととなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Matuso,N.Osumi-Yamashita et al.: "A mutation in the Pax-6 gene in rat small eye is associated with impaired migration of midbrain crest cells" nature genetics. 3. 299-304 (1993)
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[Publications] T.Gui,N.Osumi-Yamashita and K.Eto: "Proliferation of nasal epithelial and mesenchymal cells during primary palate formation" J.Craniofac.Genet.Dev.Biol.13. 250-258 (1993)
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[Publications] M.Fujiwara,T.Uchida,N.Osumi-Yamashita and K.Eto: "Uhida rat(rSey),A new mutant rat with craniofacial abnormalities resembling those of the mouse Sey mutant" Differentiation. (in press).
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[Publications] 土居洋文: "岩波科学ライブラリー3 なぜチンパンジーはエイズにならないか" 株式会社岩波書店 安江良介, 1-111 (1993)