1994 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類器官形成期胚の胚操作技術の開発-頭部神経堤細胞の機能解析に対する応用-
Project/Area Number |
05557078
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山下 典子 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (00220343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 洋文 (株)富士通研究所, 国際情報社会科学研究所, 主任研究員
二宮 洋一郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (90237777)
江藤 一洋 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (30014161)
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Keywords | 哺乳類胚操作 / 全胚培養 / whole mount in situ hybridization / rSey / Pax-6 / レチノイン酸 / 咽頭弓 / 神経堤細胞 |
Research Abstract |
1.Pax-6遺伝子に突然変異をもつ眼鼻欠損ミュータントラットrSeyの解析 平成5年度までに確立したwhole mount in situ hybridization法を用い、眼鼻欠損ミュータントラットrSeyの原因遺伝子Pax-6の発現を検索した。その結果、Pax-6遺伝子は外胚葉のレンズおよび鼻プラコード予定域と、前脳・後脳・脊髄において発現していることが明かになった。これまでの我々の研究から、rSeyでは神経堤細胞の移動の異常が表現形の一つと考えられてきた。そこで、rSeyでの神経堤細胞の移動の異常が、神経堤細胞そのものに起因するのか、それとも移動経路に原因があるのかを明らかにするために、インジェクションシステムと哺乳類全胚培養を組み合わせた実験系を確立し、検討した。正常な中脳神経堤細胞を正常ラット胚より単離し、蛍光色素で標識したのち、哺乳類全胚培養下でミュータントラット胚の中脳部神経堤領域に注入し、移動パターンを解析した。その結果、異常は移動経路に依存していることが確認された。 2.特異的な顎顔面奇形を誘発するレチノイン酸処理ラット胚の解析 全胚培養下で胎齢9.0日および9.5日ラット胚を2x10^<-7>Mのレチノイン酸(以下RA)を添加した培養液中に6時間曝露し、その後無添加培養液に移して48時間培養すると、それぞれ特異的な顎顔面奇形が誘導された。前者の処理の場合は、第一咽頭弓のサイズが減少し、第二咽頭弓様の形態になり、後者の場合は第一及び第二咽頭弓が癒合した。本条件下におけるラット胚の頭部神経堤細胞の挙動を、蛍光色素をインジェクションすることによって検討した。胎齢9.0日ラット胚をRA処理した場合、頭部神経堤細胞の移動パターンが正常とは異なり、第一咽頭弓へ移動する神経堤細胞が第二咽頭弓にも移動し、逆に本来第二咽頭弓へ移動するべき神経堤細胞が第一咽頭弓領域である三叉神経節に移動した。これに対し、胎齢9.5日ラット胚をRA処理した場合は、正常発生における分節的な移動パターンは保持されていた。 3.インジェクションシステムの有用性 以上述べてきたように、哺乳類全胚培養とインジェクションシステムを組み合わせた実験系は、哺乳類胚の頭部神経堤細胞の挙動を検索する局面で、このうえなく有用なツールであることが明示された。今後は、全胚培養、インジェクションをどの研究者でも比較的容易に行えるようなシステムの開発を推進する必要がある。また、本システムを応用すべき分野をさらに開拓する必要もある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Osumi-Yamsahita et al.: "The contribution of both forebrain and midbrain crest cellls to the mesenchyme in the frontonasal mass of mouse embryos" Developmental Biology. 164. 409-419 (1994)
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[Publications] Fujiwara et al.: "Uchida rat (rSey):a new mutant rat with craniofacial abnormaolities resembling those of the mouse Sey mutant" Differentiation. 57. 31-38 (1994)
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[Publications] Motoyama et al.: "Retinoic acid treatment induces cell death and the protein expression of retinoic acid receptor beta in the mesenchymal ces of mouse facial primordia in vitro" Deveopment Growth & Differentiation. 36. 281-288 (1994)
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[Publications] Yasui et al.: "Apicall cell escape from the neuroepithelium and cell transformation during termianl lip fusion in the house shrew embryo" Anatomy & Embryology. 189. 463-473 (1994)
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[Publications] Lee et al.: "Retinoic acid stage-dependently alters the migration pattern and identity of hindbrain" Development(in press).