1994 Fiscal Year Annual Research Report
人工制限酵素の化学的創製と染色体遺伝子解析への応用
Project/Area Number |
05557111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉浦 幸雄 京都大学, 化学研究所, 教授 (40025698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 雅巳 京都大学, 化学研究所, 助教授 (40126008)
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Keywords | 人工制限酵素 / ヒトゲノム / DNA切断 / 転写因子 / 亜鉛フィンガー / DNA結合蛋白質 / 活性酸素 / ニッケル錯体 |
Research Abstract |
ヒト・ゲノム解析に重要な十数塩基配列を選択的に切断する人工制限酵素として、亜鉛フィンガーと呼ばれるDNA結合性のタンパク質に、活性酸素を発生するニッケル錯体化合物をつなげた化合物を遺伝子工学的に創製した結果、通常のDNA切断酵素よりも長めの配列を選択的に切ることが明らかになった。すなわち、転写因子の1つでDNA結合ドメインに3個のCys_2His_2型亜鉛フィンガーを有するSplをDNA塩基配列の認識部位として活用した。Splにおける3個の亜鉛フィンガーは、GCボックスと呼ばれる5′-GGGGCGGGGC-3′の10塩基配列を認識することができる。従って、亜鉛フィンガーの数を増加させれば、認識塩基の数もふえることになり、このモチーフを用いれば、長い塩基配列の認識に大きな多様性をもたらす一般的概念を与えることが期待される。このような亜鉛フィンガーの幅広いDNA塩基認識能を基礎としたヒト・ゲノム解析用の人工制限酵素の開発を展開した。すなわち、Splの亜鉛フィンガーのN末端にグリシルグリシルヒスチジンを導入し、その部位でニッケル錯体を形成させ、参加剤存在下、活性酸性種を発生させると、GCボックスの3′側のシトシン塩基できわめて高い選択的切断が認められた。この亜鉛フィンガーヌクレアーゼ創製の成功は、人工制限酵素のデザインを進める上で価値が高いと考えられる。
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[Publications] M.Nagaoka: "A novel zinc finger-based DNA cutter:Biosynthetic design and highly selective DNA cleavage" J.Am.Chem.Soc.116. 4085-4086 (1994)
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[Publications] A.Yonezawa: "DNA binding mode of class-IIS restriction endonuclease FokI revealed by DNA footprinting analysis" Biochim.Biophys.Acta. 1219. 369-379 (1994)
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[Publications] T.Matsumoto: "Alteration of binding mode and cutting site by G→I replacement in 5′-AGG of chromoprotein C-1027" Biochim.Biophys.Res.Commun.205. 1533-1538 (1994)